■契約の取り消し
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1.特定商取引法による取り消し |
要件1 |
特定商取引法の訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売、特定継続的役務提供取引、業務提供誘引販売のいずれかであること |
要件2 |
以下のいずれかに該当すること
a.契約の勧誘時に事業者から事実と異なることを告げられ、そのことを事実と信じて契約した場合 → 訪問販売でシロアリがいないのに事業者が「シロアリが大量発生をしていて駆除しないと家が崩れる」と告げられ、そのことによって消費者が「シロアリがいて家が崩れてしまう」と信じて契約した場合
b.契約の勧誘時に本来ある事実を告げられず、そのような事実はないと信じて契約した場合 → 連鎖販売で扱う化粧品は市販品よりも多い種類の有害薬品が入っているのに、そのことは一切告げず化粧品の効能のみを説明することにより消費者が有害薬品は入っていないと信じて契約した場合 |
取消し可能な期間 |
取消しができる状態になってから6ヶ月以内、または契約をした日から5年以内 |
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2.消費者契約法による取消し |
要件1 |
「消費者」と「事業者」の契約であること |
要件2 |
以下のいずれかの事由があった場合
a.事業者が契約の勧誘時に事業者が重要事項について事実と違うことを告げた場合 → 事故車であるのに事業者に「事故車でない」と言われて購入した中古車の売買契約
b.事業者が契約の勧誘時に将来における価格や利益等の変動が不確実な事項について断定した判断を提供した場合 → この株式は半年もすれば3倍以上の値段になると言って購入した株式の売買契約
c.事業者が契約の勧誘時に重要事項について消費者に不利益になる事実を知りながら何も告げず、消費者に利益があることばかりを告げていた場合 → 何も知らない消費者に対して「先物取引はものすごい利益を手にすることができる」と利益のことばかり説明し、リスクについては説明しなかった場合
d.事業者が自宅等にやってきて消費者が帰って欲しい旨を伝えたのに契約するまで帰らなかった場合
→ 直接的に「帰って欲しい」と言わなくても「用がある」「時間がない」等の間接的な表現でも該当。
e.消費者が事業者の元(販売店等)へ訪れ帰りたい旨を伝えたのに契約するまで帰さなかった場合
→ 直接的に「帰りたい」と言わなくても「用がある」「人と待ち合わせをしている」等の間接的な表現をした場合でも該当。 |
取消し可能な期間 |
取消しができる状態になってから6ヶ月以内、または契約をした日から5年以内 |
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【ポイント】
a.契約の取消しを行う場合も原則として書面(内容証明)で行います。口頭でいきなり行っても事業者が素直に応じる可能性は低く証拠も残りません。
b.特定商取引法による取消しは販売方法や商品の指定等の要件がありますが、消費者契約法では販売方法や商品の指定はありません。
c.契約が取消されると事業者は消費者から受け取っている金銭を返還しなければいけません。
d.契約が取消されると消費者は事業者から受け取っている商品等を返還しなければいけません。
e.契約が取消されるまでに使用した物品や受けたサービスがある場合はその範囲内において支払いを請求されることがありますが、事業者が消費者に請求できる金額は法律で定められています。
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