オデ(混練)た生地を2〜3時間寝かす(熟成)事が必要で、水和と生地の緩和が行われるのである。
私はオデた生地を桶に取り、しっかり足踏みをしてビニールを掛け、2〜3時間寝かします。
この熟成を取った生地をステンレスを張った「板」の上に出し「足踏み」をして厚さ10cm程度の円盤状に踏み広げられる
これによって空気を押しだし、グルテンの網目状構造もさらにしっかりと作られるのです。
その生地を幅10cmくらいに包丁で(渦巻き状に)切り、
イタギの機械で少し薄くロール圧延により引き延ばされる。
このときに注意することは、機械の力は手作業に比べ遙かに強いので生地を傷めないように過度な圧延は行わないことが基本である。
「オデ」てから製品にするまで「グルテン網目状構造」をより強固に、均一に展開するために作業しているので「機械の力」を充分に認識して作業すれば、手作業よりもよりよい品質の素麺ができます。
- 生地中の空気を更に脱気する
- ロール圧延することでグルテン網目状構造をより強固に、均一にする。
- 複合(2つの生地を重ね合わせる)することで更にグルテン網目状構造を強固に、均一にする。このとき複合は2回行うのがグルテン網目状構造を最適状態にするために必要である。官能試験によれば1回では麺は柔らかで、3回すれば硬く、弾力性に乏しくなって食感が悪いのである。これは私の研究により明らかになった。
- この工程で私は丸棒状にするときに初めて「ごま油」を塗布するが、麺帯の付着防止や乾燥などの作業性のために使用するのだが、これが後に素麺に「厄」という現象を与え、食味食感に強い影響を与えるのである。 もちろん塗布しすぎると「油焼け」現象を起こし、異臭を放ち食べられたものではない。「厄」についてを参照してください。
桶で寝かせた生地をステンレス板の上で厚さ8cm くらいに踏み広げる。グルテン形成、脱気、水和が 更に進む。 |
足踏みした生地を包丁で10cm幅くらいに 渦巻き状に切る。 |
圧延ロールで幅10cm、厚さ4〜5cmくらいに 圧延、成型する。グルテン形成、脱気、水和が 更に進む。 |
圧延したものを2つ合わせ(複合)2回して生地の グルテン構造をしっかりしたものにする。 複合の回数は私の研究から2回が適当であると いう結果を得た。 注意点:2本の生地がずれることなく重なって ロールに通すことが肝要 |
複合の後数度圧延して約1cmの厚さにした生地を 丸ロールで直径4cmくらいの丸棒状にしてごま油 を塗布する。 1,圧延の最後に塗布すると生地の引っ付きが悪く 麺割れの原因ともなる。 2,厄現象は麺表面で起こる現象であるため 麺内部にまで油が入る必要はない。 |
イタギ工程の途中でも少しずつ(5〜10分)の熟成 を取りながら作業を行う。 イタギ工程が終わり次にほそめ工程に移るまで 約30分の熟成時間を取る。 機械の力は強いので無理なく少しずつが基本です |
イタギ工程の作業は以下の順です。
- 10cm位の厚さの円盤状に踏み広げる
- 10cm幅くらいに包丁で渦巻き状に切る
- イタギロール幅10cm厚さ5cmに圧延する。
- 圧延した麺帯を2つ併せてロールに通し圧延する
- 更に2度目の2つあわせの圧延を行う(このときロール圧をゆるめる)
- ロール圧延をする(厚さ3〜4cm位)→ロール圧延をする(厚さ1〜1,5cm位)
- 更に平らにロール圧延をしてその後丸棒状(直径4〜5cm)にロール圧延する。
この作業の途中でも少しずつ「熟成」が必要です(無理無くが鉄則)
オデ工程 イタギ工程 ほそめ工程 掛け機工程 小引き工程 門干し工程
塩見製麺所 熟成と厄 加水量と塩 褐変現象と防止策