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どうなる
表示法・日本農林(JAS)規格
1,JAS規格改正案
2,「手延べ」表示に必要な手作業
3,表示法・JAS規格改正案の内定について
4,表示法・JAS規格改正案についてのまとめ
5,どうなる表示法・JAS規格改正
パブリックコメント 
表示法・JAS規格改正への農林省議事録(’03,9,16)new
農林物資規格調査会(平成15年9月16日開催)資料
これまでの問題点
1,門干し工程とはどこからどこまでの作業内容なのか定義せよ。

理由:表示法における手延べ素麺(手延べ干し麺)類の定義に…門干し工程を手作業により行ったものをいう。とあるが、その注釈に括弧くくりがあって門干し工程の説明があるのだが、「乾燥用ハタを使用して麺線を引き延ばして麺とし、」の文言は門干し工程の中のハタ付け作業を指すものと考えられる。
「乾燥する事をいう。」は乾燥工程に入るものと考えられる。

私たち製麺業者では門干し工程とは以下の作業を指す。
1,袋引き作業
2,箸分け作業
3,ハタ付け作業
4,立つ箸作業

そして「門干し工程」を箸分け作業であるとして、箸分け作業のイラストを用いて説明してきたのだが、その一方で門干し工程(乾燥用ハタを使用して麺線を引き延ばして麺とし、乾燥することを言う。)の文言では門干し工程を箸分け作業とは違う作業内容と規定してある。
これはどういう事なのか。
もちろん法として実効するのは文言の方なので、説明の時のイラストは全く意味をなさず、農林省はこの違いを説明していない。
一方では「助かった。今まで通りにやれる。」と胸をなで下ろし、他方では「だまされた。これでは全く意味をなさないではないか。」と言うだろう。
農林省はこのままにする事はできないと思う。はっきりと規定し説明するべきだろう。

注:箸分け作業を行うハタを「延ばしバタ」
  箸分けした素麺を付けるハタを「付けバタ」という。

2,従って「乾燥用ハタ」を定義せよ。
3,熟成の定義

日本農林規格における手延べ干し麺の定義には「製麺の工程において十分熟成が行われたものであり、且つ、小引き工程及び門干し工程を手作業により行ったもの」とあり、
その熟成期間の(3,)「小引き工程と門干し工程の間の工程及び門干し工程における熟成については合計12時間」とあるが、門干し工程が乾燥する事まで入るように書かれているので熟成の定義に合わない事が指摘される。
4,加水率45%以上である事
なぜ45%なのか?
どこの誰がそんな加水率で仕事をしているのか。
どこに研究論文があるのか。
何より手延べ素麺業者がそんな加水率で仕事をしているのか。
ちなみに私は52.3%で仕事をしており、50%以下で手延べ素麺作りはできない。
1%加水率が違えば大変な事なのですぞ。(手延べにとっては)
5,手延べ干し麺の定義に「丸棒状又は帯状の麺」として帯状の麺を入れた理由を明確にせよ。
ひら麺もきしめんも稲庭うどんも昔からあったではないか。
なにを今になってという気がする。
6,手延べ素麺を1.7mm以下
素麺と言おうと冷や麦と言おうとかまわない。などと随分いい加減な規定では納得できない。
(手延べに分類できない麺では1.3mm以下でないと素麺とは言えない。)

7,
熟成期間 熟成が次の期間以上行われていること。
1,混合工程(小麦粉に食塩および水を加えて練り合わせることをいう。)とかけば工  程の間の工程における熟成については、6時間(長径を1,7mm以上に成形する  ものにあっては、3時間)
2,かけば工程と小引き工程の間の工程における熟成については、3時間
3,小引き工程と門干し工程の間の工程および門干し工程における熟成については  合計12時間
上記熟成期間を取る製法は一部産地のものでしかなく、小豆島、岡山、長崎、その他それぞれに産地の特色のある製法により「手延べ素麺」が作られているのであって、それはとりもなおさず食のバリエーションにつながるのである。
それをなにを持って一部産地の製法を国の規格とするのか。
どこにそう規定するための論文があるのか。
私は未だかつて熟成期間はこれだけ取らなければ「手延べ素麺にならない」とする論文は見た事がない。


5,も6,7,も、あまりに政治的圧力によるものと判断される。
本来手延べとは関係のないところでの変更であって不愉快この上ない。
手延べの信頼が薄れるものである。
こういった事で「手延べ」が発展するはずがないではないか。
しっかりと「手延べ」とは何かを規定し、なにが必要でなにが不必要なのかをしっかりと見据え、こんな政治的なばかばかしい文言で「手延べ」の将来をつぶさないで頂きたい。

国の無謬性が指摘される中以上の問題を抱え農林省はこの法律をどうするのか。
まさかこのまま地方農政局に丸投げはしないと思うが、これだけの矛盾を解決(回答)なしには進めまいに。