<保険金、退職金にまつわる控除>
@保険金
被相続人の死亡によって発生した保険金の場合、「500万×法定相続人の人数」だけ控除されます。単純に人数で均分する場合はこれでいいのですが、相続人によって取り分が違う場合は「500万×法定相続人の人数×各相続人の取得した保険金/保険金の総額」で計算します。
例.保険金総額:3000万 内訳(妻:2000万 長男:600万 次男:400万)
妻の控除額:500万×3人×2000万/3000万=1000万
長男の控除額:500万×3人×600万/3000万=300万
次男の控除額:500万×3人×400万/3000万=200万
A退職金
保険金と同様の計算を行います。取り分が違う場合も同様です。
<相続税の早見表>
※平成15年度税制改正で以前のものから変更になりました
課税額 | 税率 | 控除額 |
1000万円以下 | 10% | 0円 |
1000万円超〜3000万円以下 | 15% | 50万円 |
3000万円超〜5000万円以下 | 20% | 200万円 |
5000万円超〜1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超〜3億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円超 | 50% | 4700万円 |
求める相続税額=課税額×税率−控除額
<相続税の計算方法>
@課税される財産の算出
=相続財産+みなし相続財産+贈与財産−非課税財産−債務−葬式費用…(1)
A相続税の課税価格を算出
(1)−基礎控除額…(2)
(2)を法定相続分で按分(妻、子などそれぞれの金額が算出される)…(3)
B相続税総額の計算
(3)の結果に対して「相続税の早見表」を参考にして金額を算出…(4)
それぞれの相続税額を合計…(5)
C実際の相続分に合わせて各相続税額を求める
=(5)×各人の課税割合…(6)
Dさらに控除がある場合は控除する
配偶者、未成年の子など特別控除があるときは、(6)で算出した金額からそれぞれに応じて控除する。何もない場合は(6)の金額が相続税となる
例.相続財産:2億750万 みなし像族財産:500万 非課税財産:300万
妻が3年以内に受けた贈与財産:260万(贈与税15万納付済み)
債務:1000万 葬式代:200万
相続人:妻、長男(23歳)、長女(15歳)
@課税される財産の算出
=2億750万+500万+250万−300万−1000万−200万=2億
それぞれの相続分 妻;1億5000万 長男:3000万 長女:2000万
A相続税の課税価格を算出
=2億−(5000万+1000万×3)=1億2000万
法定相続分で按分
妻:1億2000万×2分の1=6000万
長男・長女:1億2000万×2分の1×2分の1=3000万
B相続税総額の計算
妻=6000万×0.3−700万=1100万
長男・長女:3000万×0.15−50万=400万
合計:1100万+400万=500万
C実際の相続分に合わせて各相続税額を求める
妻:1億5000万÷2億=0.75 ∴500万×0.75=375万
長男:3000万÷2億=0.15 ∴500万×0.15=75万
長女:2000万÷2億=0.1 ∴500万×0.1=50万
Dさらに控除のある場合は控除する
妻:贈与税の控除 375万−15万=360万(A)
配偶者特別控除 課税される財産の2分の1
2億×2分の1=1億<1億6000万
実際に相続した金額:1億5000万<1億6000万
相続税総額×配偶者特別控除の適用金額/課税される財産の金額
=500万×1億6000万/2億=400万…配偶者税額軽減の基となる金額(B)
(A)と(B)とで金額の小さいほうを配偶者税額軽減とする
360万<400万 ∴360万(C)
(A)−(C)=配偶者の税額 360万−360万=0
∴配偶者の相続税は0円となる
長男:さらに控除ができるものはないので、長男の相続税は75万円となる
次女:未成年控除:6万×(20−15)=30万
50万ー30万=20万 ∴次女の相続税は20万となる
<まとめ>
相続税に対する様々な控除を見てきましたが、手っ取り早く課税されるかどうかを判断するときは以下のポイントを押さえておけば大丈夫です。
・相続財産の総額が基礎控除額を上回っているかどうか 基礎控除額=5000万+1000万×法定相続人の人数 基礎控除額以下であれば相続税は課税されません ・配偶者においては相続する財産が配偶者控除を上回っているかどうか 配偶者控除以下であれば相続税は課税されません この2点でかなりの人が相続税から免れることになると思います。 もし上回る場合は課税される可能性が高いので、一度計算してみる必要があります。 |