〜相続税の基礎知識 其の弐〜


<その他の控除>

@贈与税額控除
先ほど相続開始から3年以内の贈与財産は課税されると書きましたが、通常は贈与されたときに贈与税が課税されています。さらに相続財産とみなされて相続税を課税されたら税を二重に徴収され、たまったものではありません。そこで、相続税額から贈与税額を差し引いて控除しましょうという制度です。

例.相続の2年前に船を贈与されてそのときに贈与税100万円を支払った。
   今回みなし相続財産ということで相続税120万円を課税された。
   支払う相続税=120万−100万=20万

A配偶者に対する控除
配偶者に対しては1億6000万円又は遺産の法定相続分相当額のいずれか大きい金額までは非課税になります。

例.相続財産:5億 相続人:妻、長男、長女の場合、妻の控除金額は?
   法定相続分=5億×2分の1=2億5000万>1億6000万
   ∴妻は2億5000万まで非課税となる

B未成年者控除
未成年者の法定相続人で相続又は遺贈を受けたとき、「20歳−現在の年齢×6万円」の控除が受けれます。

例.15歳の長男が財産を相続した場合
   控除金額=20−15×6万=30万

C障害者控除
障害者の法定相続人で相続人又は遺贈を受けたとき、一般の障害者は「70歳ー相続時の年齢×6万円」、特別障害者(心神喪失の常況にある、障害の程度が1級又は2級と認定された者)は「70歳ー相続時の年齢×12万円」の控除が受けれます。

例.38歳の障害をもつ長男が相続した場合
   控除金額=70−38×6=192万

D相次相続控除
前回の相続(第1次相続)から10年経過する前に再び相続(第2次相続)があったときに、前回の相続税のうえに、今回の相続分の相続税の支払いがのしかかってきます。特に前回の相続から2、3年で再び相続が発生するとかなりの税負担になります。そこで前回の相続から10年経過していないときの税負担を軽くするためにこのような控除があります。計算式は以下のようになります。

A:第1次相続のとき今回の被相続人が課せられた相続税額
B:第1次相続のとき今回の被相続人が取得した財産の価格
C:第2次相続のときの相続財産全額(債務控除後の金額)
D:第2次相続のとき相次相続控除対象者が相続した財産の価格
E:第1次相続のときから第2次相続のときまでの年数(1年未満の端数は切り捨て)

B−A≧Cの場合
A×C/[B−A]×D/C×[10−E]/10

B−A<Cの場合
A×D/C×[10−E]/10


例.今回の相続 相続財産:1000万 債務:200万 相次相続控除対象者の相続分:100万
   5年前に今回の被相続人が相続した財産 相続税:50万 相続財産:500万 
   A=50万 B=500万 C=1000万ー200万=800万 D=100万 E=5
   B−A=500万ー50万=450万<800万
   相次相続控除額=50万×100万/800万×[10−5]/10=3万1250円

E外国税額控除
相続財産が外国にある場合、その国で相続税が課せられて、さらに日本でも同じように相続税を課せられれば。相続税もかなりの額になる場合があります。そこで相続財産が外国にあり、そこで税金を課せられたときには其の税額の控除を認めています。



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