〜資格商法(士商法)〜

張りめぐる 資格取得の 甘いワナ
心の俳句


資格商法とは、この講座を受ければ簡単に資格が取れる、来年には公的資格になるので今取っておくと有利、などと言って勧誘、高額な教材を買わせたり、登録料を取ろうという悪徳商法です。残念ながら行政書士もよく使われています。実際、私も会社員のときに仕事中、行政書士とエネルギー管理士の講座の勧誘で電話がかかってきたこともあります。行政書士となった今だから言えることですが、楽をして取れる公的資格はない!!


<商品としてよく使われるもの>

行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引主任者、税理士などの公的資格
エネルギー管理士、経営法務士、企業診断士など公的資格でありそうな名称の資格


<狙われやすい人>
社会人(新人はもちろんだが、不景気の今は中高年でも狙われる)、主婦、フリーター、学生 等


<業者の手口>
〜ある日の職場にて〜
電話:リーン、リーン(呼び出し音)

 はい、解約商事ですが。

業者:私、ダマシと言いますけど軽さんお願いします。

 はい、少々お待ちください。(電話を置いて)約太郎君、ダマシさんから電話よ。

 (ダマシさん?)はい、軽ですが。

業者:私、サギチック教育社のダマシといいます。先日お送りしたご案内の期日が本日いっぱいとなっていますが、お返事はどうされますか?

 (案内?期日??)いえ、案内なんて知りませんが?

業者:おかしいですね。確かにお送りしたのに。実は今回私どものほうで行政書士の講座を開講することになりまして、そのご案内をさせていただいたのです。今回は○×大学ご卒業の方を優先してご連絡させていただいてまして、その回答期限が本日の17時までになっているのです。

 いや〜行政書士には興味があるけど、勉強する時間もないので。

業者:その点はおまかせください。当社では電話によるフォローアップはもちろん、受講生同士のコミュニケーションの機会として、開講パーティーを開催したり、試験1ヶ月前には合宿なども企画しています。また、不合格の場合でも、来年、再来年と私どものほうで引き続きバックアップさせていただきます。まずは本日が締め切りとなっていますので、今回仮登録されて、私どもからお送りする資料をご覧になってはいかがでしょうか?

 (面倒だなぁ) いや、結構です。

業者:そうですか。では失礼します。

〜2日後、会社から帰宅。自宅にて〜

 何じゃこの荷物は!「サギチック教育社・行政書士講座」?確かに断ったはずなのに…。しかも講座代で50万円!?こんなの払えるわけがない。電話してやる!!

〜電話にて〜

 もしもし、軽ですが。ダマシさんいますか?

業者:ダマシですけど。教材はお手元に届きましたか。振込みのほうは一括と分割、どちらにされますか?

 ちょっと待ってください。あのとき「結構です」と断ったじゃないですか。こんなのいりません。

業者:いえいえ、おかしなことを。確かに軽さんは「結構です」とおっしゃいましたが、私は申込みの承諾としてお返事されたのだと思いました。すでに会員登録も済ませています。もし受講されないのであれば、登録の抹消手数料として40万円を支払ってもらわなければいけません。

 そんな〜


(ポイント)
・何度か繰り返し電話をかけてくる
・今日が申込みの最終日、大勢の中からアナタを選んでるなどの言葉を使う
・仕事中などに電話をかけて、あいまいな返事(結構です等)=契約ととらえる
・資料などを送りつけ、○日以内に署名・押印をして送り返すように強要
・いざキャンセルしようとしても、高額な登録料を要求して解約させない
・一度捕まるとかなりしつこく、悪質な業者が多い


<解約方法>
@クーリングオフ(特定商取引法24条)
資格商法の場合、電話勧誘販売になるので、クーリングオフの期間は書面交付の日から8日です。8日を過ぎている場合でも、書面をもらっていない、書面に不備があるような場合は、いつまででもクーリングオフができます。

Aクーリングオフの期間(8日)が過ぎている場合
・消費者契約法4条1項1号の「不実の告知」を根拠として解約(取り消し)
 よく調べてみるとこのような資格が国家資格になるという情報はどこにもなかったような場合

・消費者契約法4条1項2号の「断定的判断の提供」を根拠として解約(取り消し)
 合格できるかどうかもわからないのに、この講座を受ければ確実に合格すると言ったような場合

・民法95条の「錯誤」を根拠としての解約(無効)
 この講座受講すれば、何もせずに資格を得ることができると思って契約したような場合(自発的)

・民法96条の「詐欺・強迫」を根拠としての解約(取り消し)
 この講座を受講すれば何もせずに資格を得ることができると言われて契約したような場合(受動的)
 1日に何度も職場に電話をかけてきて、上司にいいつけるなどと言われて契約した場合

※1.電話で断ったにも関わらず、登録を抹消するために登録抹消料を支払えというような場合、契約は不成立です。これらは士商法の二次被害といわれています。このような場合は、消費者生活センターや行政書士などの専門家に相談してください。

※2.電話で断ったにも関わらず、いきなり商品等を送りつける場合はネガティブ・オプションにあたります。


<ポイント>
・資格商法の場合、契約してしまうとその名簿が悪徳業者間で流出して、他の業者からの勧誘などが急激に増える可能性があります。また、2次被害として教材の追加、中途解約の場合の解約金の請求などが考えられます(次々商法)。その際はお金を支払うのではなく、専門家にご相談ください。支払ってしまうとさらにひどくなる可能性が高いからです。

・商品を購入する際にクレジット契約をしてませんか?もし契約をしているのであれば、クレジット会社に対して支払停止の抗弁権を主張することを忘れないで下さい!クレジット契約についてはコチラ


○消費者契約法は、追認(うそや勘違いが分かったとき又は監禁や不退去から逃れた日)のときから6ヶ月、契約をしてから5年で消滅時効となり、解約できなくなります。

○民法は、追認から5年、契約をしてから20年で消滅時効になります。しかし民法は、詐欺や錯誤があったことを消費者が立証しなければいけないため、解約までの時間がかかり、内容によっては民法の適用が難しい場合もあります。



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