考えろ その判押せば どうなるか 急ぐことなど 何一つ無し
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悪徳商法を解約する場合、商品の額が高額であれば出てくるのが割賦販売契約です。契約のときに「とりあえず分割払いで」と契約書と一緒にクレジットやローンの申込みをしてしまうパターンが多く、割賦販売がどのような仕組みになっているのか知られていないのが現状でしょう。しかし実際には割賦販売法という法律があります。
約子さん、よく高額なものを買うときにクレジット契約を結ぶんだけど、あれって一体どうなってるの?
クレジット契約っていうのは、分割払いの一種で正確には「割賦購入あっせん」っていうの。他に「割賦販売」と「ローン提携販売」っていうのがあるの。まずは、それぞれがどんなものか見ていきましょう。
<割賦販売>
割賦販売は、販売店と購入者が契約の当事者になり、両者間の間で割賦販売契約が結ばれます。代金は購入者が販売店に対して支払います。
当事者 | 販売店と購入者 |
契約関係 | 両者の間で割賦販売契約 |
対象となる支払方法 | @2ヶ月以上の期間で、かつ3回以上の分割払い A決められた時期ごとに決められた金額を払うリボルビング払い |
販売店の義務 | 契約内容を明らかにした書面交付 (書面を交付していない又は書面に不備があるような場合は、クーリングオフの期間を過ぎていても業者が義務を果たしていないということで、クーリングオフが可能です) |
クーリングオフ | 契約書面を受け取った日から8日以内 ※1.代金の支払が全額完了していないこと ※2.契約場所が業者の営業所等以外であること ※3.商品を使用していないこと(商品の価値が回復困難な場合でなければクーリングオフの可能性あり) (割賦販売法4条の4) |
抗弁権の接続 | 関係なし(相手が直接の販売店であるため) |
契約解除の損害金の上限 | @商品をまだ受け取っていないとき 契約を締結又は履行するのに通常要する費用+遅延損害金 A商品を返還するとき 商品の通常の使用料+遅延損害金 B商品を返還しない(できない)とき 商品の割賦販売価格に該当する額+遅延損害金 ※遅延損害金は支払が滞っている場合に支払うものです (割賦販売法6条) |
<ローン提携販売>
ローン提携販売は、販売店、金融機関、購入者の三者が契約の当事者になります。流れは@金融機関と販売店が保証契約を結び、金融機関が販売店に融資するA販売店と購入者の間で売買契約が結ばれると、販売店が金融機関と購入者の間で金銭消費貸借契約手続の代理をするB購入者は金融機関に対してお金を借りている状態になり(販売店は@で金融機関から融資を受けている)、金融機関に対して支払いをすることになります。また場合によっては、販売店を通して金融機関への支払いということもあります。
当事者 | 金融機関と販売店と購入者 |
契約関係 | @金融機関と販売店の間で保証契約(これに基づいて金融機関が販売店に融資) A販売店と購入者の間で売買契約(○○を○万円で買うという契約) B金融機関と購入者の間の金銭消費貸借契約手続を販売店が代理(形としては購入者が金融機関から購入代金を借りて、それを販売店が保証というようになる) |
対象となる支払方法 | @2ヶ月以上の期間で、かつ3回以上の分割払い A決められた時期ごとに決められた金額を払うリボルビング払い |
販売店の義務 | 契約内容を明らかにした書面交付 (書面を交付していない又は書面に不備があるような場合は、クーリングオフの期間を過ぎていても業者が義務を果たしていないということで、クーリングオフが可能です) |
クーリングオフ | 契約書面を受け取った日から8日以内 ※1.代金の支払が完了していないこと ※2.契約場所が業者の営業所等以外であること ※3.商品を使用していないこと(商品の価値が回復困難な場合でなければクーリングオフの可能性あり) (割賦販売法29条の4) |
抗弁権の接続 | 関係あり ※1.支払い総額が4万円以上であること ※2.個人で契約していること(法人や自分の商売に使用するため等では認められない |
抗弁権の接続の効果 | 信販会社に対して商品代金支払いの拒絶 ※ローンが消滅するわけではない (割賦販売法30条の5) |
既払金の返還請求 (中途解約の場合) |
基本的に不可 |
契約解除の損害金の上限(金融機関からの解約の場合) | 商品の販売価格+手数料+遅延損害金 (割賦販売法30条の3) |
<割賦購入あっせん>
割賦購入あっせんは、「総合割賦購入あっせん」と「個別割賦購入あっせん」の2種類があります。ここではクレジット契約のうち8割を占める「個別割賦購入あっせん」について説明します。販売店、信販会社、購入者の三者が契約の当事者になります。流れは@信販会社と販売店の間で加盟店契約を結びますA販売店と購入者の間で売買契約を結びます。このときに支払いとしてクレジット契約の申込みをする(これにより信販会社と購入者の間にクレジット契約が成立)B購入者は信販会社に対して代金を支払うようになります(販売店には信販会社より立替払いがあるので)。
当事者 | 信販会社と販売店と購入者 |
契約関係 | @信販会社と販売店の間で加盟店契約(これにより店頭でクレジット契約が可能) A販売店と購入者の間で売買契約 B信販会社と購入者の間でクレジット契約(販売店が店頭で書面を作成、購入者は信販会社に対して料金を支払う) |
対象となる支払方法 | @2ヶ月以上の期間で、かつ3回以上の分割払い A決められた時期ごとに決められた金額を払うリボルビング払い |
販売店の義務 | 契約内容を明らかにした書面交付 (書面を交付していない又は書面に不備があるような場合は、クーリングオフの期間を過ぎていても業者が義務を果たしていないということで、クーリングオフが可能です) |
クーリングオフ | 契約書面を受け取った日から8日以内 ※1.代金の支払が完了していないこと ※2.契約場所が業者の営業所等以外であること ※3.商品を使用していないこと(商品の価値が回復困難な場合でなければクーリングオフの可能性あり) (割賦販売法29条の4) |
抗弁権の接続 | 関係あり ※1.支払い総額が4万円以上であること ※2.個人で契約していること(法人や自分の商売に使用するため等では認められない |
抗弁権の接続の効果 | 信販会社に対して商品代金支払いの拒絶 ※ローンが消滅するわけではない (割賦販売法30条の5) |
既払金の返還請求 (中途解約の場合) |
基本的に不可 |
契約解除の損害金の上限(信販会社からの解約の場合) | 商品の販売価格+手数料+遅延損害金 (割賦販売法30条の3) |
どう、違いが分かった?
うーん、何となく。つまり「割賦販売」っていうのは販売店との間の分割払い、「クレジット」や「ローン」っていうのは金融機関や信販会社との分割払いの契約になるんですね。でも、これらの場合、いざ解約しようと思ったらどうすればいいのですか?
そうねぇ、とりあえず購入店に解約の申し出をすればいいんじゃないのかしら。
あま〜い!!確かに「割賦販売」であれば、購入店に解約の申し出をすればいい。しかし、「ローン」や「クレジット」の場合、それだけではいかん。それぞれの金融機関や信販会社は、上の図でもあるよに販売店とは別の契約がある。つまり、金融機関等に支払拒絶を申し出なくては、毎月の引き落としは止まらんのぢゃ。この支払拒絶の申し出のことを抗弁権の接続というのぢゃ。
あぁ、なるほど。信販会社に対しても支払いの拒絶を伝えないといけないのですね。じゃあ、お金を支払いたくないときは、いつでも抗弁権の接続を主張すれば支払いをしなくていいのかしら?
それも違うのぢゃ。たんにお金がないから支払わないという理由では抗弁権の接続は無理。逆に履行遅滞や債務不履行で、こっちが訴えられる可能性もある。抗弁権が主張できる主な理由は以下の通りぢゃ。
・契約そのものが成立していない場合 ・クーリングオフによる解約の場合 ・特定継続取引の中途解約の場合 ・契約が無効な場合(錯誤、公序良俗違反等) ・契約を取り消す場合(詐欺、強迫、未成年の契約等) ・商品が引渡されていないような場合 ・サービスの提供がされないような場合 等 |
は〜い、分かりました(車のローン、払いたくないのになぁ。残念。)
お師匠様、じゃあ上のような理由があるときに抗弁権の接続を主張するとすれば、信販会社に電話をすればいいのですか?
いや、それでは不十分ぢゃ。電話だと、後で言った言わないの問題になる可能性が大きい。だらか書面で伝える。それも普通の手紙を出すのではなく、内容証明郵便を利用すること。内容証明郵便は、手紙の内容を郵便局が証明してくれるサービスぢゃ。こうすれば間違いない。さらに心配ならば銀行に行って、引き落としに使っている口座を支払停止にする手続をすればよいのぢゃ。