随筆集

2011-03-18 Friday
天変地異
 
2,3年前になるが私は大津波が襲ってくる夢を見た。私は海辺に居てそこは海岸の浅い所にブリッジが架かっていてパイプのような構造物があり何やら工業地帯のような雰囲気があるところである。その場所に沖から巨大な津波が迫って来ているので必死に山側に逃げようとするが津波はぐんぐん近づいてくる。振り返ると黒々としたものが煙のように立ち上がっていて空まで届きそうな高さになっている。SF映画にでも出てきそうなシーンであり、夢の中で私は戦慄を覚えたものである。私は必死に走って山際までたどり着いた。他にも逃げまどっている人々がいるが誰かはわからない。しかしそこまで逃げても波は容赦なく追いかけてくる。夢はそこまでだったが今も印象に残っている。
 
後でその夢に出てきた光景がこの間の東北地方の大津波の時にテレビに映し出されたものに実によく似ていることに気がついたのである。夢と現実はそっくり同じではないが押し寄せる大津波と空高く上がる黒煙(火災による)、変形した橋桁や構造物など景色を構成する要素に共通のものが揃っている。もしその夢が今回の大惨事を予知するものであったとしても場所や日時を特定することは出来ない。また特定できたとしても地震学者でもなく世間に名の売れた超能力者(実際はいかさまが多い)でもない素人の言う事など誰も相手にしないだろう。他にも今回の事を夢などで感知していた人も結構いるかもしれない。
 
そういう未来に起きる事を見たり感じたりするという事象にはどういう機序が働いているのだろうか。地上世界(三次元)に起きる事はすでに別の次元(四次元)の世界で起きていてそれが時間をおいて地上で現実化するらしい。そのエネルギーはすでに発生していて、ある人間の意識が一時的にそこにコンタクト出来た時にそれが感得できるという事らしい。しかし正確な場所と日時を当てるということは極めて難しいだろう。様々な要素が絡む上に時間の流れが次元の違う世界では異なるということである。私はこれまでに幾つかの予知夢のような夢を見たがその内で現実化したものは幾つかある。現実化するまでの時間は数日から数年後のものが多い。それにその夢を見た時はその意味がよくわからないが後にそれが現実化したときにわかるのである。
 
今回は地震と津波の凄さに打ちのめされた上に原発の事故が追い討ちになり、メディアも国民も完全なパニック状態に陥っているようだ。専門家を除いて原発の実像を理解している人は殆どいないので放射能が漏れたらどんなに恐ろしいことになるのかと皆が恐怖の念に支配されている。メディアはいたずらに目先の状況を逐一伝えるよりも基本的な原発や放射線被爆の知識を国民に正しく、もっと分かりやすく伝えることが必要なのではないだろうか。知識に基づいた正しい認識が人々の恐怖心を和らげることになるだろう。実態がよくわからないことから恐怖心が生まれるからである。
 
現在、賢明の対応策が進行中だが、被爆の恐怖に耐えて現場に挑む人たちの勇気には頭が下がる。背後には全国民の期待と希望があり、それなりの成果を挙げることが出来るだろう。人が懸命の努力をしている時には必ず上からの支援がなされ解決策が授けられるのである。経験則からしても人々の不安心理が極に達した後に状況は好転し始めるものである。
 
ともあれ今回の地震と津波の規模は凄まじい。この被害に遭われた方々の心情を察するに余りあるものがある。亡くなった人より生き残った人のほうがはるかに厳しい立場に置かれているだろうと思う。一刻も早く住居や生活必需品や医療など支援の手が届くこと、そしてこれに挫けることなく今後の人生を全うして頂ける様、祈るのみである。人々が喪に服すような心情になり、何事も自粛という風潮になり易いが誰もが直接支援が出来るわけではない。一人ひとりが自分に出来る範囲のことをして、それぞれの持ち場について自分の務めを果たすことがこの国の国民としての義務であり、それが被災地の状況改善への貢献につながると信じたい。我々は皆同胞であり元の所でつながっているのだから。
 

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Last updated: 2012/3/17