仏像の話になった時この十一面観音は外せません。日本を代表する観音像と言っていいでしょう。国宝でもあるこの観音様は向源寺に奉られています。すらりと長身、頭に様々な顔をした11の小面を乗せていてそれぞれが意味のある表情をしています。穏やか、怒り、怒りと笑いの混ざった暴悪大笑面に分けられ頂上に仏面が乗っています。このように面が様々な表情をしているのは十一面観音の徳の多様さを表わし、また全ての方向を向いているのは人々のあらゆる苦難を救うためとされています。
この観音様は他の仏像とは違う独特なムードを持っています。日本人離れのした顔立ち、上品で慈悲に溢れながらも妖艶な肢体をも備えていてセクシーな感じさえします。昔修行僧が観音様の像をみて善からぬ衝動を覚えたとかいう話を聞いたことがありますがこの観音様をみると、そういうことがあっても不思議ではないような気がします。
千年以上前に作られたらしいのですが戦乱の時代、村人はこの観音様を地中に埋めて護ったという言い伝えがあります。ここでも管理人の人がついて来て横で見守っています。何しろ国宝なので何かあったら大変です。私はよく仏像の前でそのエネルギーを感じ取ろうとするのですが説明のナレーションがつき横で管理人の人が見ているのでそういうことは出来ません。長時間そこに立っていたらこの人何してるんだろうと怪しまれるでしょうから。許されるならこの仏様とじっくり対話してみたいものです。
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