余呉湖の近くに家が数件存在する集落がありそこに観音寺という無住の寺があります。寺の周囲は田畑がありお年寄りが農作業をしています。この寺は普段は閉まっていて無人、入り口のところに電話番号が書かれておりそこに電話をかけると世話をする人が来て鍵を開けてくれます。去年の9月に訪れたときは電話するとおばあさんが出て「鍵を持っている息子の誰それは今仕事に行っているのでちょっと開けられませんのです」と言います。何時お帰りでしょうかと聞くと「さあ仕事が終わってからやから夕方にならんと」。ああやっぱり駄目だ........。今まで3回行ってこの仏様に会えたのは1回きりなのです。3回に1回の確率じゃね。
しかしここの仏様は如何なる不便に遭っても1度は見てみる価値があります。前に厨子を開けてもらった時の感動は今も心に残っています。これが観音様か!誰でもはっとするに違いありません。写真では実感が伝わりにくいのですが思わず頭を下げずにはいられないような威厳と迫力に満ちています。平安前期、伝教大師の作と伝えられています。千手観音と伝わってはいますが姿形からして”准てい観音”であろうと云われています。今にもその多くの手が動き出しそうで顔を見ていると生きているとしか思えません。身長約2m、上からこの目で静かに来た人を見下ろしています。私はその前で般若心経を唱えましたが時間を忘れてこの仏様に見入っていました。しかし世話をする人が横で待ってくれているのでそんなに長居することも出来ませんでした。もう一度この仏様に会いに行きたいものです。
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