我々が日夜目にしているこの世の中のことは本当に実体のあるものなのでしょうか。いくつかの事象を以下に挙げてみます。
2003年にアメリカはイラクが大量破壊兵器を隠し持っているとして戦争を仕掛けました。しかし大量破壊兵器はどこにもありませんでした。軍産複合体が圧力をかけて戦争を仕組んだといううがった見方もありますが実態はアメリカの妄想であったことがわかりました。
最近では原油価格が高騰、穀物、金属や建築資材なども高騰しているようです。
原油は世界の総需要量のわずか数パーセントの量をニューヨークの先物市場で実際の需給関係とは関係のないところで価格付けが行われています。ヘッジファンドなどが金儲けのために原油価格を操作しているのです。穀物や金属も金儲けという欲の絡んだ金のために動かされています。おおよそ市場というものは人間の思惑で出来たもので実態を正しく反映したものではありません。また週刊誌などを見てみるとその記事の90%は記者の空想で書かれたものではないかと思います。
テレビ番組でも多くは虚構の世界が作り上げられています。さらにインターネット、携帯電話、これらの情報機器を誤って使用する事でどれ程人間は惑わされ道を誤っていることでしょう。メールのやりとりだけでは真意の半分も伝わらないでしょう。事務的な手段としては便利なものですが本当に相手の心は分かりません。基本的にそれは仮想現実の世界です。現実と仮想現実の区別がつかなくなって犯罪に巻き込まれるケースが後をたちません。
私は若い時思い切り運動をしましたがその頃は激しくトレーニングしているときは水を飲むとバテるから飲んではいけないと言われていました。ところが今は水分を取らないと脱水症状になり最悪の場合、血栓ができて血管を詰まらせてしまうので水分を摂取しないといけないと言われています。昔は無知であって誤ったことを皆が信じ込んでいたというわけです。それからコーヒーは発がん性があるので飲まないほうがいいといわれたことがありましたが今はコーヒーは発癌を抑制する作用があると言われるようになりました。
今はしきりに食品の賞味期限のことで毎日のように大騒ぎをしていますが賞味期限が少々過ぎたところでそれがわかる消費者はいるでしょうか。賞味期限という実体のないものに世間が振り回されているだけです。私の職業は歯科医ですが近年健康保険の治療で意味のない何々指導料というものが急に増えしかもその都度それを実際にやったという証拠書類を患者さんに渡さなければならなくなっています。恐ろしく煩わしくて何ら実体のないものです。
近頃世間をみると一層こういう仮想現実のものが増えているように思います。結局人々が実際にあると信じているものは実体のないものが多いのです。無いものをあると信じ込んでいるのです。昔は地球が丸いことは誰も知らず船で航海して地の果てまで行けば滝があってそこから落ちると思われていたそうです。また東西南北というものは実際にあるでしょうか。人間が考えて決めただけのことではありませんか。人は土地をここは自分の土地、そこは人の土地であると言って図面を書いています。山でさえ誰それの所有であると言っていますが土地は人間のものでしょうか。地球のものではないのですか?人間が勝手にそう思っているだけです。
人間の想念は実際の現象を作ります。この世の多くのことは人の意識が作り上げたもの、我々は毎日自分や誰かの作り上げた仮想現実の世界を自分の五感で感じて喜んだり悲しんだり腹を立てたりしているのではないでしょうか。私は般若心経を唱えない日はありませんがその度にそういう事を感じるのです。
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