金・銀・ブロンズ像、及びアート作品の修復やメンテナンスを行っております。

ブロンズ彫刻の保護について Q&A

Q.

ブロンズ像はさびないのですか?

A.

基本的に金属は腐食します。錆びない金属はありません。

チタン・アルミ等は錆びないのではなく、表面が急激に酸化し、その強固な酸化膜によって内部が保護されているのです。

酸化は物体が酸素に触れて変化することですから、金属表面に酸化膜が付くことによって、外気と遮断されれば、そこで酸化は止まります。

従来ブロンズ像は銅合金で出来ているため、人為的に酸化させ(緑青をふかせ)、内部を保護しているのです。

Q.

水をかけて洗っても大丈夫?

A.

水をかけながらタワシでこすったり、硬い布で洗うと表面がすぐに劣化します。

また、冬に水をかけると、温度が下がった時氷になり、その圧力で像が壊れたりピンホールが広がることがあります。

Q.

普段のお手入れは?

A.

なるべく柔らかい布で像の谷間を拭くようにします。

頭や鼻、肩、胸などは触るつもりがなくても布があたるので十分です。

谷にたまった土ぼこりは柔らかい歯ブラシで軽くかき出して下さい。夏の日差しの強い時は拭かないように!

Q.

ブロンズ像には、赤や茶、緑青など様々な色がつけられていますが、どのようにして色をつけるのですか?

A.

ブロンズ像の表面に腐食剤を塗り、酸化膜を作って錆びを付けるのです。

特に、茶色にする場合は、おはぐろという、鉄釘をお茶の葉とお酒で煮た液を焼き付けます。

その液は代々受け継がれたもので秘伝のタレなのです。

Q.

ブロンズ像の保護膜にはどんな種類がありますか?

A.

次の3種類が代表的な保護法です。

(1)樹脂系の腐食防止剤(テフロン、ラッカー、アクリル等)をコーティングする方法。

(2)漆に日本画の顔料(岩絵具)を入れ、ブロンズの色に合わせて着色する方法。

(3)蜜蝋やパラフィンワックスを溶かし、ブラシで薄くコーティングする方法。

(1)は、ブロンズ本体と空気とを完全に遮断しますので、酸に強く、長期間にわたって保護します。

しかし、保護膜が厚く、ブロンズ本来の良さが消えてしまいます。

また、人工的な艶が出て、プラスチックで作ったようにも見えます。

使用例・海岸に立つ少女像(新潟県)・・・潮風や砂、雪から守るため作家の依頼を受け納品時よりコーティング

(2)は、日本の風土に合った保護膜の作り方で防湿にも有効です。

日本画の顔料は、色あせしない焼緑青など色も豊富で、ブロンズの色に合わせて修正していきます。

そのため、状態の悪い、色のまだらな彫刻にも効果があります。

しかし高価な材料を使うことと、漆が乾くまでの3~5日は、かぶれのおそれがあるため一般の人は近寄れないことが難点です。

使用例・鏡獅子、釣人(平櫛田中美術館蔵、岡山県井原市)・母子像(東京都練馬区)

(3)は、日本古来の技法で、大塚美術では納品するまえの色仕上げに使っています。

上品な艶で仕上がりに自然な色合いが出ます。

しかし、このワックスは風雨により少しずつ減少しますので、室外設置の場合は数年に一度のメンテナンスが必要です。保存状態の良い彫刻には最適です。

使用例・専修大学キャンパス内ブロンズ像・ルノワール作女性像(静岡駅前)

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