ブロンズ像の作り方
焼型鋳造法は、我が国では古くから行われていた鋳造法です。
技術的に難しく、コストがかかりますが、石膏からブロンズにする際に生じる歪みや収縮が少なく、重厚な感じに仕上がります。
我が国では、平櫛田中(1872-1979)、荻原守衛(1879-1910)、などが用いました。
下記に紹介するのは、平櫛田中作{禾山笑(首)・複製}が石膏からブロンズに完成されるまでの工程です。
←型を芯金(鉄棒で)補強中の二代目
1
石膏を目測で前後に分け、まず背面から外型を取る。
外型は、細かい土に和紙や粘土を混ぜた肌土で作る。
2
型を外すときに引っかかると思われる所に、
肌土で別に型(寄せ)を取る。ここまでの作業を、前面も同様に行う。
3
石膏を取り出し、外型の内側に粘土を貼り付ける。
粘土の厚みが最終的なブロンズの厚みとなる。
4
ブロンズの内部を空洞にするために中子型(砂と粘土を混ぜたもの)を作る。
この際、中子型を固定するため、コウガイ(鉄の棒)を組み込む。
5
中子型完成。
この二つの型を合わせる。
6
再び二つの型を開き、いったん中子型を取り出す。
続いて先ほどの粘土を取り出す。
7
中子型を戻す。
8
中子型と外型の間が空洞になる。
そこに、湯(溶かしたブロンズ)を流し込むので、写真のように、あらかじめ湯道(溶かしたブロンズの通り道)を作っておく。
9
外型を組み、釜の中で一昼夜、焼成して強固にする。
10
1,200度に沸かした湯を取鍋へ。
11
湯口(ブロンズの注ぎ口)から湯を流し込む。
12
冷ましてから外型を壊し、ブロンズを取り出す。
13
湯道を除去し、中子型を出す。
仕上げとして、タガネやヤスリを使い修正する。
14
着色、保存処置を施して完成。
「参考」禾山笑
(ブロンズ井原市立田中美術館蔵)