〜マルチ商法〜
マルチ商法は、人の紹介によってその団体の販売会員になり、さらにその下に会員を増やして、下の会員が販売活動をすることによって、上の人間が利益を得れるような販売形態の商法で、れっきとした悪徳商法です。
<商品としてよく使われるもの>
健康食品、日常雑貨 等
<狙われやすい人>
主婦、新社会人、高齢者 (楽をしてお金が稼げるならとつい誘惑に負けてしまう)
<業者の手口>
〜ある日の昼下がり〜
ひなとりちゃん、いい話があるから時間取れないかな?
いい話?なにそれ?
物を使って人に勧めるだけで大金持ちになれるんだ。今度セミナーがあるから一緒に行こうよ。
(せっかく約太郎君が誘ってくれているし)分かった、行くよ。
〜セミナー会場にて〜
友達を連れてきました。
業者:ようこそ、いらっしゃい。
(何が始まるんだ?)こんにちは…
まずは扱う商品の説明をするよ。これは「ウルトラミラクル洗剤」といって、市販品に比べてもの凄く汚れを落とすことができるんだ。ほら、凄いだろ(実際にやってみせながら)。しかも環境にも配慮してるんだ。これは、○△に入会して買うと、会員価格で買うことができる。さらに自分の下に三人の会員を作って、商品を売ってもらう。そうしたら、売値の5%が収入として得ることができるんだ。凄いだろ!!入会するときには10万円かかるけど、あっという間に取り戻せるよ。
ということは、その商品を売る人間を自分の下に増やしていったら、何もせずとも収入が入るのか!すばらしい!!私もやります。
(ポイント)
・基本的には口コミで広がり友人や知人から誘われるので、誘われたほうも断りにくい
・最初に入会金や商品等の購入がある
・販売員になってしまうと、組織や周りの人から執拗に販売するように圧力をかけてくる
<マルチ商法の定義>
以下に該当するようであれば、特定商取引法33条に該当するマルチ商法といえます。
@有償で商品・サービスを提供していること |
これは会員権ようなものでも構いません。有償のもの全てが対象になります。 |
A販売方法は問いません |
自分より上の人から仕入れて他人へ販売、本社から仕入れて他人へ販売、商品を預って販売、他人を紹介して販売員になると紹介料をもらえるような斡旋の場合も該当します。 |
B特定の利益を得ることができると誘うこと |
○○をこれだけ売れば、売上の○%をもらえるなど。 |
C特定の負担を伴うこと |
販売員になるときに、入会金やサンプルの商品購入料などといって、金額を負担させること。例え1,000円でも負担させられた場合は該当します。 |
D個人で契約する場合であること |
会社や事業主としてではなく、個人として契約した場合です。 |
<マルチ商法最大の問題点>
自分が販売員になった場合、自分に近い人(友人、家族j)を誘ってしまい、結果それらの人と人間関係が崩壊して、取り返しがつかなくなる(金額以上に失うものが大きい)
<解約方法>
@クーリングオフ(特定商取引法40条)
マルチ商法の場合、クーリングオフは書面交付の日から20日です。20日を過ぎている場合でも、書面をもらっていない、書面に不備があるような場合は、いつまででもクーリングオフができます。
※再販売の場合は、商品の引渡しを受けた日から20日です。
Aクーリングオフの期間(20日)が過ぎている場合
・消費者契約法4条1項1号の「不実の告知」を根拠として解約(取り消し)
漢方薬と言われて契約をしたのに、後で調べてみると普通の健康食品だったような場合
・消費者契約法4条1項2号の「断定的判断の提供」を根拠として解約(取り消し)
これを売れば絶対儲かるなどと説明されたような場合
・消費者契約法4条3項2号の「監禁」を根拠としての解約(取り消し)
「帰りたい」と言ったにも関わらず、契約するまで返してもらえなかった場合(直接言わなくても間接的な表現「今から酔うがある」「要らない」と言ったり、身振りなどでも可)
・民法90条の「公序良俗違反」を根拠としての解約(無効)
マルチ商法だった場合(過去にそれ自体が公序良俗違反となったことがあります)
・民法95条の「錯誤」を根拠としての解約(無効)
ちょっとしたアルバイトの契約をしたつもりだったのに、実はマルチ商売だったような場合
・民法96条の「詐欺・強迫」を根拠としての解約(取り消し)
遠い会場に連れて来られ、契約しなければ家に返さないと脅されて契約したような場合
<ポイント>
・マルチ商法の場合、クーリングオフが通常の悪徳商法よりも長く設定(20日)されているので、8日過ぎたからとあきらめないで下さい。
・マルチ商法の場合、友人や知人に誘われて契約をしてしまうことが多いです。自分に悪気がなくても(マルチ商法と気付かず)、友人を巻き込んでしまえば当然関係が悪くなる可能性があります。怪しいと思ったら、人に勧める前に一度ゆっくり考えてみて下さい。
○消費者契約法は、追認(うそや勘違いが分かったとき又は監禁や不退去から逃れた日)のときから6ヶ月、契約をしてから5年で消滅時効となり、解約できなくなります。
○民法は、追認から5年、契約をしてから20年で消滅時効になります。しかし民法は、詐欺や錯誤があったことを消費者が立証しなければいけないため、解約までの時間がかかり、内容によっては民法の適用が難しい場合もあります。 |
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