〜解約について〜

解約の 方法あるぞ こんなにも
あきらめるのは もったいないぞ
心の短歌


契約がどのようにして成立するものか分かったら、次は解約です。ここではまず、一般的な契約を解約する場合について書いていきます。悪徳商法に対しての解約方法などは次のページ以降、個別に記していきます。


<登場人物>

軽 約太郎(けいやくたろう) 20歳の社会人1年目

戒 約子(かいやくこ) 24歳のOL

ひなとり(♀) 近所のおませなひよこ(一応人扱いということで…) 推定15歳

くまじいさん 近所の森の住人(一応人扱いということで…) 推定64歳

お師匠様 軽約太郎と戒約子の昔の恩師 58歳


<契約者が未成年だった場合>(民法4条) (取り消し)
業者:そこのきれいなひよこさん、お姉さんにぴったりの香水があるんだけど?

 (きれいなんてうれしいことを)私にぴったりって、どういうもの?

業者:この「おんどりフェロモン」です。これをとさかにつければどんなオスでも一発ですよ。10万円なんですがどうでようか?

 10万円!?高いわ。しかも私、まだとさかも生えてないし。やっぱりいらないわ。

業者:確かに10万円をいっぺんにというと高いですが、クレジットを組めば月1000円のお支払いで十分購入できます。それにとさかが生えてつけるよりも、今から塗り込めば効果倍増になるのです。

 (月1000円の出費で、効果倍増のとさかが得られるのなら)分かったわ。1つちょうだい。


〜後日〜
 この「おんどりフェロモン」におってみたら(未使用)臭いだけだし、よく考えたら1000円×110回払いで総額11万もローンを払うなんて嫌!しかもクーリングオフの期間も過ぎてる。お師匠様〜

 ひなとりちゃん、甘い誘惑に流されたようぢゃの。しかし、安心を。ひなとりちゃんは未成年(15歳)のため、解約できるのぢゃ。その場合、以下のポイントに注意するのぢゃぞ。

・親(親権者)が「大根ありがとう」と買ったことを認めれば有効な契約になります
・業者がひなとりの年齢を知らないで契約した場合でも解約は認められます
・ひなとりが業者に対して「私は20歳」「親の同意をもらってる」と言って買った場合は解約できません



<公序良俗違反の場合>(民法90条) (無効)
〜ある日の電話〜
 はい、約太郎ですが。

業者:約太郎君、私、詐欺子っていうんだけど今少しだけいい?

 いいですけど、何でしょうか?

業者:実は今、服の展示会をやってるんだけど、時間があったら参加して欲しいんだ。

 (詐欺子さんって話しやすいし、会ってみたいな)じゃあ、行きます。

〜展示会にて〜

詐欺子:よく来てくれたわね。ありがとう。で、この服なんだけど最新のモデルで、最高級の素材を使っているの。30万円なんだけど、買ってくれない?

 (30万!高い。でも詐欺子ちゃんがいいって言うし、買えば仲良くなれるかもしれない)分かりました、買います。


〜後日〜
  なんじゃこりゃ!!30万もしてるのに、送られてきたものを見たら、近所のスーパーで980円で売ってるのと変わらないじゃないか。こんな物で30万も払えない。しかも詐欺子ちゃんの携帯にもつながらず、クーリングオフの期間は過ぎてる。お師匠様〜

 まったくしょうがない奴ぢゃのぉ。このようなものは「デート商法」と呼ばれるものぢゃ.(詳しくはコチラ)。この場合、30万円の価値が到底あるとは思われないものを売りつけている(通常の道徳を逸している)こと、また人の心につけこんだデート商法であることから、公序良俗違反で契約解除ぢゃ!!公序良俗違反のポイントは下記の通りぢゃ。

・相手が表示した商品と値段・品質が相応であるのか
・契約までの経緯
などを考慮して総合的に判断します



<錯誤の場合>(民法95条) (無効)
〜ある日の展示会で〜
業者:約子さん、よくお越しくださいました。何か気に入っていただいた絵はありますか?

 あの四国太郎作「香川のうどん」という絵がすばらしいですね。

業者:さすが約子さん、お目が高い!あの「香川のうどん」は四国太郎氏の作品でも特に人気がありまして、この展示会でもやっと手に入れたものなんです。この絵は300万円するのですがいかがでしょうか?

 300万円はさすがに高いからいらないわ。

業者:では、複写の製品はどうでしょうか?複写品であれば10万円でありますが?

 (一枚くらい部屋に絵も飾りたいし)いいわ、複写品を1枚お願いします。


〜後日〜
 何よ、これは!複写の製品って言うから、てっきり絵を複写(ぞくに言う贋作)を送ってくるかと思ってたら、ただカラーコピーして額にはめ込んでるだけじゃない。こんなのに10万円も出せないわ!お師匠様〜

 ふむ、約子ちゃんは絵を買ったつもりなのに、実際はカラーコピーが送られてきたのぢゃな。つまり、製品がカラーコピーであるならば買わなかったであろうということぢゃから、これは錯誤(勘違い)により契約解除をすべきぢゃ!ただし、以下の点には要注意ぢゃぞ。

・購入者が勘違いをして、その勘違いがなければ契約してなかったような場合に認められる
・勘違いが、購入者が十分注意をしていたならば気が付いたであろう程度であれば認められない
・販売者が購入者の錯誤(勘違い)を知っていて販売をした場合に認められる



<詐欺・強迫の場合>(民法96条) (取り消し)
〜くまじいさんの住処にて〜
業者:こんにちわ〜。れんげのハチミツ「れんげミツ」を入荷してきたんだけど買わないか?

 (見慣れない業者だが)ほう、れんげのハチミツはばあさんの大好物だし、いいかもしれんなぁ。いくらだい?

業者:通常1つ2000円だが、今回は2つで3500円にしとくよ。

 (お買い得だな、これを1ヶ月後のばあさんの誕生日プレゼントにしよう)じゃあ、2つもらおう。


〜1ヵ月後ばあさんの誕生日〜
 ばあさん、誕生日だろ。先月業者がやって来たときに、プレゼントとしてれんげのハチミツ「れんげミツ」を買ったんだ。食べてみてくれ。

ばあさん:あんた、これれんげじゃないよ。タンポポのミツじゃないかい。あたしゃタンポポ嫌いなのを知ってるだろう。

 なに〜、あの業者、騙しやがったな。訪問販売によるクーリングオフも期間が過ぎているし、何とか解約の手段は無いのか!お師匠様〜

おお、くまじいさんまでもか。この場合、くまじいさんは騙されたわけだから、詐欺による契約取り消しを主張することができるぞ。ただここで問題があるのぢゃ。詐欺を主張する場合、以下のポイントをしっかりと押さえなくてはいけないのぢゃよ。

・業者が購買者を騙そうという意思があること
・業者が購買者を強迫して契約させようという意思があること
これらのことをしっかりと見極めなくてはいけない!



<相手方が債務を履行しない場合>(民法541条) (取り消し)
〜「さぬきうどんツアー」チケット購入の続き〜
 約太郎君、せっかくだからチケット渡しておくわ。水曜日にはお金ちょうだいね。

 はーい、それまでに小銭を作っておきます。


〜水曜日〜
 約太郎君、お金持ってきた?

 すいません、月曜に持ってたお金全部使って、今手持ちがないんです。

 もういいわ、チケットは他の人に譲るから。チケット返して。

 そんな〜、明日持ってきますから。もう少し待ってくださいよ。お師匠様、こんな場合でもチケットを返さないといけないのでしょうか?


 ふう、約太郎君は相変わらずぢゃのぉ。今回の場合、約子はいきなり契約を解除することはできないんぢゃ。まずは、もう一度「いつまでに」ということを約太郎に伝える。それでも約太郎がお金を持ってこなければ、約子ちゃんはこの話をなかったことにして、当然チケットも返してもらえるのぢゃ。今回のような場合のポイントを整理ぢゃ。

・期日に持ってこないからといって、すぐに契約の解除はできない
・相当な期間を定めて催促すること
・催促をしても相手方が契約を履行しないときは契約解除することができる



<無効と取り消しの違い>
契約の解除には「無効」と「取り消し」の2種類があり、実は大きな違いがあるのです。

無効 その契約は最初から無かったものとみなします。
最初から無かったということなので、既に支払っている代金は、返還請求することができます。
無効の場合、消滅時効はありません。
取り消し その契約は取り消した時から将来に向かって消滅します。
つまり、平成10年4月に絵を購入。平成13年3月まで支払いの場合、平成11年10月に契約を取り消したとします。すると、平成11年11月以降は契約が消滅したので支払いの必要はありません。しかし、平成11年10月までの契約は有効となるので、それまでの代金は返還請求することができません。
取り消しの場合、契約の追認をすることができるときから6ヶ月、契約締結のときから5年で消滅時効となります。



戻る          目次へ          次へ


メール相談・業務依頼へ