彼が人生の幕を引く前後を親族として観察、体験してみるとその裏で見えない世界のネットワークが明らかに存在している。死の数週間前から彼はありがとう、という言葉を盛んに言うようになっている。死の数日前からは自分は大丈夫、万歳、万歳と両手を挙げたりするようになった。亡くなる２日前に私は神社でインスピレーションを得てみたら”明日は彼の旅立つ日”になるだろうということだったので心しているとその日は夜大阪にいる彼の長女が父を見に帰ると言う。それならあるいは翌日になるかもしれないと思っていると彼は日付が変わってから長女の帰りを待っていたかのように眠るように旅立ったのである。彼は末期がんだったので担当医は今後痛みが出て苦しむかもしれないと予測していたが一切そういうこともなかったのである。

 

実は前夜１１時半頃に私の妻（彼は妻の父）が入浴中に胸の痛みを訴え「もしかしたらお父さんに何かあったのかも」と私に言ってきている。彼の死後の伝言で「自分は死を知らせに子供達のところに行った」という言葉と照合してみるとこの事はぴたりと一致する。お通夜と葬儀の日程は週末になり親族の誰もが最も障害の無い日に行う事が出来た。彼は入院当初、入院生活と体が自由にならぬフラストレーションから老妻によく当り散らしていたものだが良く眠るようになってからは悟ったような事を口にするようになっていた。眠っている間に霊界から指導されているのではないだろうかという言い方がふさわしい。

 

これらの事を考えてみると誰かが一連の事をコーディネートしているのではないかと思えてくる。子供や孫達のそれぞれの事情をすべて勘案して理想的なタイミングを選んでいるとしか思えない。私はその１週間前にはカナダに行っていたのでもちろんその時期は外して。大まかに人の死期は決まっているようだが間近になると微調整が行われるのだろう。実は今日ある親戚の家に行ってそこの老人と仏壇の前に座った。すると次の声が聞こえてきたのである。

 

 

なるほどこれが見えない世界のネットワークなのだろう。先祖の人達やその人の守護霊は共に協力して関係する人間の一生を見守り、ここと言う時には連携してこの世、あの世に渡って力を発揮してくれるようだ。今年になって私の子供と姉の子供がカナダで運命的な出会いをしているがその事においてもそういう力が働いているようだ。人の出会いは特にそれを感じる。私達はどんな時にも一人ではない、常に慈愛の目で見守られているのである。そしてそれに気付き、感謝の心を忘れないことだ。私達がその目を開けば必ず彼らに通じさらにその愛を授かることが出来るだろう。