死後の世界

 18      冥界便り その6
今日は夕方、桜の名所を散歩していたらおじいちゃんの声が聞こえてきた。
 
「私は自分の生き方を守り通して来た。他人に左右されずに自分のペースを守ってきた。形式ばったことが嫌いで器用には生きられなかったけど。私のしてきたことは全部子供や孫たちの心の中に残っている。物の中には何も残っていない。私にとって彼らと過ごした楽しい時間は最高のものだった」。
 
家に帰り風呂に入っていると再びおじいちゃんが。瞼を閉じると今度はビジョンが見える。彼はお洒落なチェックのシャツを着て白いチェアーに座っていてこちらを見て手を上げている。そこは広い海岸で潮騒が聞こえ結構風がある。カナダのBC州によく見られるような海岸である。彼は満面の笑みを浮かべていて私に話しかける。
 
「ここにいるととても気持ちがいい、海がこんなに気持ちがいいと今まで思ったことはなかった。海はすべてのものを浄化してくれるのか、そっちにいた時のしこりが洗い流されるような気がする。ああ気持ちがいい」。
 
4月11日
 
 
更新日時:
2008/04/12
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Last updated: 2012/3/26