意識の世界

12    この世は偽りの世界なのか

2007年も残すところ2週間余りになり例年のように清水寺で今年の世相を現す漢字を清水寺貫主が書き付けている写真が新聞に出ましたが今年の言葉は「偽」でした。今年を象徴する言葉を募集したところ「偽」が最多だったということです。2位が「食」、3位が「嘘」、次が「疑」、であったそうです。「こういう字が選ばれるのは本当に恥ずかしく悲憤に絶えない。己の利のためには人を騙してもいいという嘆かわしい社会だ」これは清水寺貫主の言葉です。今年はビールの泡のようにそういう事件が表出しました。偽りと知りながら皆がやっているからうちもやってもいい、やらねば損だ、奇麗事を言っていたら競争社会では行き抜けないと感じるのが多数派で、絶対に潔癖でなければいけないと考える高潔な人間は少ないでしょう。
 
しかし大騒ぎになった食品の賞味期限などはもともと意味のないものでそういうものを誰かが作り上げてそれに合うか合わないかを問題にしているだけのことであって実体のないものだと思います。そういう事例は探せば限なくあることでしょうが人間は何もないところから自分の想念でもって現象を作り上げるのです。組織のなかの人間関係、地域社会さらには国や世界の出来事においても誰かが作り上げたイメージがさも現実に存在するかのように捉えられています。アメリカはイランが核兵器を開発しているに違いない、それを止めないとイランを軍事攻撃することも選択肢としてあるということを主張してきました。しかしこの間アメリカのある機関が調査した結果、イランは2003年で核兵器開発の計画を中止していることがわかったという事が報道されました。その報道が事実ならアメリカは無いものを実在するかのように考え軍事攻撃まで計画していたということになります。一時はイラクの二の舞になりかねないような雰囲気があったのです。
 
今政府は原油価格が上昇して国民の暮らしに影響が出るから援助する必要があるということを言っています。原油や穀物の値段も世界の投機資金によって強い影響を受けています。しかしよく考えてみると原油や食料のように生活必需品の価格が投機資金によって動かされるということはあまりに不自然なことです。そういうものを規制して投機マネーの影響を受けないようにすることが優先されるのではないでしょうか。その為には世界の市場を改革しなければなりませんが。
 
ともあれ「偽」という言葉は今の世相を表わす言葉には違いありませんが私はこの世というのは本来そういうものではないかと思います。偽という言葉が適切でないなら人の念で出来た仮想の世界、誰かが、あるいは自分の想念が現象を生みその中で自ら迷って右往左往しているというのがこの世の実態ではないでしょうか。そういう現象は実体が無く人の思いでどのようにでも変化するのでそれに囚われているとさらに迷いの世界に入ります。どこを探してもそういうものは実際には無いのです。では一体この世に真実は無いのかというとそうではなく真実はちゃんとあるのです。宇宙の全てのものを支配し我々を生かしてくれている宇宙の摂理、これこそが真理なのです。それは目に見えないので物質だけ見ているとわかりません。物の世界は無常であって移ろい易いもの、同じ形で留まる事はありませんが宇宙の摂理、愛のエネルギーは不変であり、あまねく全てのものに注いでいるのです。愛、調和、進化、人がこれらを目指す想い、行為のなかに真理が輝いているのです。そしてそれは永遠に魂に記憶され未来永劫持ち続けることの出来る宝物なのです。世の不祥事ばかりが報道されますがその裏では真理を学び実践しようとする力が確実に強まってきているように思うのです。
 
 
 
 
 
更新日時:
2007/12/14

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Last updated: 2008/3/26