中村トンネルから少し離れた駐車場に愛車を停める。 三年半、事故らしい事故もない私の相棒だ。 よく心霊スポットに行った帰りに霊が付いて来たとか、事故に遭ってしまったとか、そんな話が多くある。 でも・・・ まぁ大丈夫だろう。 |
中村トンネルは山の中にある旧道、明かりが全くない場所にある。 私は車の中に置いてある懐中電灯を捜した。 だが、見つからない。 いつもは邪魔になるくらい車内を転がっているハズなのに。 最近車から持ち出した記憶もない。 どうしよう・・・ せっかくココまで来たんだから明かりなしで行くか? ・・・いや、さすがにそれはマズイだろう。 まてよ、もしかしたらこれは 行くな という警告なのかもしれない・・・ カメラのフラッシュを頼りに進むか? ・・・さすがにそれは無理だろう・・・ 自問自答しながら運転席の下に手を入れるとコツンと指先に当たるモノがある。 引き出してみると、ランタン代わりにもなる私の懐中電灯だった。 こんなところにあったのか。 暗い山道、記憶を頼りに進んでいく。 旧道に入ると、周囲から一切の明かりが消えてしまった。 懐中電灯のスイッチを点け、その頼りない明かりのみで闇の中を進んでいく。 |
ここはまだ周囲に田んぼがあり、視界も開けている。 左方向、遠くには国道沿いの明かりも見える。 道がだんだん上り坂へと変わっていき、ゆっくりと左へとカーブしていった先、前方に森と表現するのが適している空間が現れた。 私は一人でその中へと入っていく。 |