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「麩(グルテン)を出す」
ー オデ工程といたぎ工程の間で ー

麩(グルテン)を出す工夫
というのはそんなに小難しいことではないのです。みんな経験から知っていることであり、グルテンの性質などの知識があれば思い至ることなのです。

まず、手延べというのはグルテンを均一に非常に細かく張り巡らし(網目状構造)デンプン粒子を包み込み食感をコシのあるものにする製法なのです。
ですが、驚くことにその初期段階では手打ちよりもずっと雑なグルテン形成しかなされていなかったのです。「オデ工程」を経て出された麺生地は現在では機械で回され縦横10cm程度に削り取られていく。
この工程の段階がまさにそうなんですが、熟成もされずしっかり足で踏まれもせず桶に巻き取るのです。
これではまともな麺生地ができるはずもないわけです。

ですから私は手間も時間もかけてしっかりグルテンを造ることにしています。
まずオデ機から桶にとり(機械の上にとって回さない。)しっかり足踏みします。少しおいて再度足踏みします。そうすると内麦を使っていたとしてもこれまで以上にしっかりした麺生地ができます。そして熟成。

この緊張と緩和がグルテンの網目状構造を無理なく展開させる要因です。
これは製造の各段階ですべて当てはまります。が、製造の最初の段階でしっかりグルテンを造っておけば後々の仕事がはかどったのではないかと思います。そしてより麺肌のつるっとした麺に仕上がります。


最近の麺用中力粉といっても作業性を重視して強力粉を混ぜているようなことではうまい麺とならず、作業の中でしっかり手を抜かずさらに熟成をとれば 内麦のようなsh基の少ない(SS結合の数が外麦に比して少ないとおもわれる)小麦粉を使っても作業性もさほどに落ちず食感を最高のものとすることができる。

以上のように取り立てて特異なことをしているわけではなく、オデ機で小麦粉と塩水をまんべんなく混ぜ、均一な麺生地を造る。
それを桶にとってしっかりと踏み生地を一つの固まりとする。その段階で生地は緊張するが次第にしっかりとした弾力を持つ。
踏んだ生地を数分休ませるとたんわりとしてくる。(構造緩和)
再度踏んでよりグルテンを出す。
再度休ませる。
これだけのことです。少し手間暇かけてやればいい生地となります。それが製品になったときに品質に出てきます。
そして「いたぎ工程」にはいる。
オデた後桶に取りしっかりと足踏みをする
目的:脱気と生地を1つにし水和とグルテンの形成
足踏み後熟成(約20分)
目的:構造緩和