盆栽 長い年月をかけて、大自然に比べれば大きくもない、わずかばかりの小さな鉢の中で、見事にバランスをとって枝を伸ばし、すばらしい姿を見せてくれる。 その姿になるまでにはそうとうな苦労があったであろう。自分の意思とは違うように枝を曲げられ、芽を摘まれ、でもものすごい愛情を注がれた結果が、人の心を捕らえ、そこに大きな存在感を見せつけてくれる。 わずかばかりの土ではあっても、根っこをその中に伸ばし、支えてもらい、そこから栄養分や水分をもらい、日照りや風雪に耐え、長年の時を過ごしてきたことが、人を感動させることにつながったのである。 長い間には多くの苦痛があったであろうが、種から芽を出したときからずっと、その根っこを支えてくれた土があればこそである。 積極的に何かをしてくれるものではない。ただじっと、ずっと、しっかりと、その根っこを包んであげている土があればこそである。盆栽の苗を最初から見守り、全てをゆだねられ、そして何の見返りも望んでなんかいない土が、活動の原点である根っこを、暖かく包んでくれていたお陰である。 その盆栽が、土に感謝してるかどうかは知るすべがない。支えた土がその思いで支えたかも知るすべはない。 ゆっくり、じっくり眺めてみたとき、そこに、無償の愛と、感謝の気持ちがあるように見てとれる。 人を見るとき、それと同じ見方で見たときに、生まれて成長し生活している間じゅう、支えているものがあることに気がつく。生み、育て、成長させ、一緒に生活を送る時間と空間の中で、ともに歩んでくれるあらゆる存在があればこそである。 親であり、家族であり、友達であり、かかわりあう全ての人であり、ありとあらゆるものが包み込み、多くの苦難があるたびに、常に無償の愛で支えてくれているからである。 普段はそんな愛には気づかずに、日々を送っているのであるが、大きな成長をした後に振り返り見たときに、初めて気がつくのである。 深く、大きな愛が、自分の周りを包み込んでくれていたことを。意識をしようとしまいと、生活の中にはその愛の働きが常に働いているのである。 愛の姿がまったく見えないような出来事は、些細な愛を見つけやすくする働きとして、役立っている。全ての物事に愛の働きがあるのである。 あらゆるもの全てが 支えあっている。 「全てのものには意味がある」のである。 |
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