
平成15年度税制改正案の要点
平成15年度税制改正において主要な改正項目として、法人税では研究開発・設備投資減税、相続税関係では相続税・贈与税の一体化及び税率の引き下げ、消費税では中小事業者に対する特例措置等、事業税では外形標準課税等があげられる。
【所得税】
<個人所得課税>
1 エンジェル税制の適用要件の緩和
エンジェル税制
法令:措法37の13 借法37の13の3
(1)特定中小会社の特定株式の取得時における投資促進税制の創設
中小企業の創設的事業活動の促進に関する臨時措置法の特定中小会社の特定株式を払込みにより取得した場合に、一定の要件の下で、その取得した年分の株式等に係る譲渡所得等の金額からその特定株式の取得に要した費用の金額(当該株式等に係る譲渡所得等の金額を限度とする。)を控除する特例を創設する。
この場合において、その取得をした特定株式の取得価額は、当該控除をした金額をその取得に要した費用の金額から控除した金額とする。
(2)適用要件の緩和
@ 特定中小会社の要件とされている外部からの投資を受けた時点における同族株主以外の者の株式の保有割合を発行済株式総数の6分の1以上(現行3分の1以上)に引き下げる。
A 特定中小会社の特定株式を上場等の日以後に譲渡した場合の譲渡所得等の課税の特例の要件とされている譲渡期間を、当該上場等の日以後3年以内(現行1年以内)に延長する。
適用時期等:平成15年4月1日以後
2 研究開発減税
試験研究費の総額に係る税額控除
法令:措法10
(1)試験研究費の総額に係る税額控除
増加試験研究費の税額控除制度との選択制で、試験研究費の総額に対し次の控除率による税額控除を認める。
@税額控除率は、試験研究費の総額の売上金額(当年を含む4年間の平均売上金額)に対する割合(試験研究費割合)に応じ、次のとおりとする。
・試験研究費割合が10%以上 10%
・試験研究費割合が10%未満 8%+試験研究費割合×0.2
A3年間の時限措置として、上記@の税額控除率に2%を上乗せし、試験研究費割合に応じ、次のとおりとする。
・試験研究費割合が10%以上 12%
・試験研究費割合が10%未満 10%+試験研究費割合×0.2
適用時期等:平成15年分以後
産学官連携の共同研究・委託研究に係る税額控除
法令:措法10
(2)産学官連携の共同研究等に係る税額控除
大学、公的研究機関等との共同試験研究及びこれらに対する委託試験研究について、上記(1)と合わせてこれらの試験研究に係る試験研究費の額の12%相当額の税額控除を認める。
ただし、上記(1)の税額控除額と合計して、当年分の所得税額の20%相当額を限度とする。なお、3年間の時限措置として、上記の税額控除率に3%を上乗せし、税額控除率を15%とする。
適用時期等:平成15年分以後
中小企業者税額控除
法令:措法10
(3)中小企業者税額控除
中小企業者に該当する個人について、増加試験研究費の税額控除制度並びに上記(1)及び(2)の税額控除制度の適用に代えて、試験研究費の総額の12%(現行6%(平成10年から平成15年までの各年分については10%)相当額の税額控除を認める。
ただし、当年分の所得税額の20%相当額を限度とする。
なお、3年間の時限措置として、上記の税額控除率に3%を上乗せし、税額控除率を15%とする。
適用時期等:平成15年分以後
3 設備投資減税
重要度:A
IT投資促進税制
法令:措法10の6
平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、一定のIT関連設備等の取得等をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の10%相当額の税額控除と取得価額の50%相当額の特別償却との選択適用を認める。
また、指定期間内に一定のリース資産を賃貸して、これを国内にある事業の用に供した場合には、リース費用の総額の60%相当額について10%相当額の税額控除を認める。
ただし、当年分の所得税額の20%相当額を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しを認める。
適用時期等:平成15年1月1日から平成18年3月31日まで
4 その他の改正
少額減価償却資産の必要経費算入
法令:措法28の2
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例制度を創設することとし、中小企業者等が、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、取得価額の全額の必要経費算入を認める措置を講ずる。
適用時期等:平成15年4月1日から平成18年3月31日までの取得
医療用機器等の特別償却
法令:措法12の2
看護業務省力化機器の範囲を見直すとともに、新たに医療安全に資する医療用機器等について、取得価額の100分の20の特別償却を認める。
建替え病院用建物の特別償却の対象資産に一定の有床診療所の療養病床を加える。
適用時期等:平成17年3月31日まで
<土地・住宅税制>
優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡
法令:措法31の2 借法62の3 借法68の68
優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講ずる。
適用対象に、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の買取請求に基づくマンション建替事業の施行者に対する土地等の譲渡又は一定の要件を満たすマンション建替事業の施行者に対する隣接施行敷地に係る土地等の譲渡で、当該譲渡に係る土地等がこれらの事業の用に供されるものを加える。
適用時期等:平成15年4月1日以後
<金融・証券税制>
1 投資環境の整備等
配当課税の見直し
法令:措法9の3 借法8の5 附則68
(1)上場株式等の配当等に対する源泉徴収税率の特例の創設
平成15年4月1日以後に支払いを受ける一定の上場株式等の配当等について、所得税の源泉徴収税率を15%(本則:20%)に軽減する特例を創設する。
平成15年4月1日以後5年間に支払いを受ける上記の上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率については、7%の優遇税率を適用する。
(注)平成15年4月1日から同年12月31日までの間については、上記の源泉徴収税率は、10%とする。
(2)上場株式等の配当所得に係る申告不要の特例の適用上限額の撤廃
少額配当の申告不要の特例の対象となる配当等のうち平成15年4月1日以後に支払いを受ける一定の上場株式等の配当等については、1回の支払金額に係る適用上限額を撤廃する。
(3)源泉分離選択課税の廃止
株式等に係る配当所得の35%源泉分離選択課税の特例は、平成15年3月31日をもって廃止する。
適用時期等:平成15年4月1日以後
上場株式等に係る譲渡所得等に関する優遇措置の見直し
法令:措法37の11
平成15年1月1日以後5年間に上場株式等を譲渡した場合における上場株式等に係る譲渡所得等の金額について、7%の優遇税率により所得税を課税する特例を創設する。
適用時期等:平成15年1月1日以後
源泉徴収選択口座の源泉税率等の改正
法令:措法37の11の4 附則79
平成15年中の源泉徴収選択口座については、15%(同年4月以降は、7%)の税率による源泉徴収並びに月ごとの納付及び還付の仕組みを維持した上、証券業者が源泉徴収選択口座においてその年中に源泉徴収をした所得税の合計額(還付をした金額を除く。)のうちその源泉徴収選択口座に係る年間通産所得金額の7%相当額を超える部分の金額をその源泉徴収選択口座を開設した者に還付する措置を講ずる。
適用時期等:平成15年4月1日以降
自己保管上場株式等の受入れ措置
法令:措法37の11の3 附則78
平成15年4月1日から平成16年12月31日までの間に限り、一定の要件の下で、源泉徴収口座又は簡易申告口座(源泉徴収選択口座以外の特定口座をいう。)に、自己が保管している上場株式等その他一定の上場株式等を、実際の取得日及び取得価額又はみなし取得日(平成13年9月30日)及びみなし取得価額(平成13年10月1日の価額の80%相当額)で受け入れることができることとする。
適用時期等:平成15年4月1日から平成16年12月31日まで
2 その他の金融関連税制の整備
商品先物取引に対する課税の特例
法令:措法41の15
先物取引に係る課税雑所得等の金額に対する所得税の税率を15%(現行20%)に引き下げる。
(注)上記の改正は、平成15年分以後の所得税について適用する。
適用時期等:平成15年分以後
【法人税】
1 研究開発減税
試験研究費の総額に係る税額控除
法令:措法42の4 措法68の9
(1)試験研究費の総額に係る税額控除
増加試験研究費の税額控除制度との選択制で、試験研究費の総額に対し次の控除率による税額控除を認める。
ただし、当期の法人税額の20%相当額を限度とする。
@税額控除率は、試験研究費の総額の売上金額(当期を含む4年間の平均売上金額)に対する割合(試験研究費割合)に応じ、次のとおりとする。
・試験研究費割合が10%以上 10%
・試験研究費割合が10%未満 8%+試験研究費割合×0.2
A3年間の時限措置として、上記@の税額控除に2%を上乗せし、試験研究費割合に応じ、次のとおりとする。
・試験研究費割合が10%以上 12%
・試験研究費割合が10%未満 10%+試験研究費割合×0.2
適用時期等:平成15年1月1日以後開始する事業年度で、かつ、平成15年4月1日以後終了する事業年度から
産学官連携の共同研究・委託研究に係る税額控除
法令:措法42の4 措法68の9
(2)産学官連携の研究等に係る税額控除
大学、公的研究機関等との共同試験研究及びこれらに対する委託試験研究について、上記(1)と合わせてこれらの試験研究に係る試験研究費の額の12%相当額の税額控除を認める。
ただし、上記(1)の税額控除額と合計して、当期の法人税額の20%相当額を限度とする。
なお、3年間の時限措置として、上記の税額控除率に3%を上乗せし、税額控除率を15%とする。
適用時期等:平成15年1月1日以後開始する事業年度で、かつ、平成15年4月1日以後終了する事業年度から
中小企業技術基盤強化税制
法令:措法42の4 措法68の9
(3)中小企業技術基盤強化税制
中小企業技術基盤強化税制について、増加試験研究費の税額控除制度並びに上記(1)及び(2)の税額控除制度の適用に代えて、試験研究費の総額の12%(現行6%(平成15年3月31日までは10%))相当額の税額控除を認める。
ただし、当期法人税額の20%相当額を限度とする。
なお、3年間の時限措置として、上記(1)及び(2)の税額控除率に3%を上乗せし、税額控除率を15%とする。
適用時期等:平成15年1月1日以後開始する事業年度で、かつ、平成15年4月1日以後終了する事業年度から
2 設備投資減税
IT投資促進税制
法令:措法42の11 措法68の15
(1)IT投資促進税制の創設
平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、一定のIT関連設備等(別紙参照)の取得等をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の10%相当額の税額控除と取得価額の50%相当額の特別償却との選択適用を認める。
また、資本金3億円以下の法人については、一定のリース資産(別紙参照)の賃貸をして、これを、国内にある事業の用に供した場合には、リース費用の総額の60%相当額について10%相当額の税額控除を認める。
ただし、当期の法人税額の20%相当額を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しを認める。
適用時期等:平成15年4月1日以後終了する事業年度から
開発研究用設備の特別償却
法令:措法44の3 措法68の20の2
(2)開発研究用設備の特別償却制度の創設
平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、一定の開発研究用設備(別紙参照)の取得等をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、その取得価額の50%相当額の特別償却を認める。
(3)適用関係等
平成15年4月1日前に終了する事業年度において、平成15年1月1日から平成15年3月31日までの間に対象設備等の取得等をした場合には、平成15年4月1日を含む事業年度において、税額控除相当額又は特別償却相当額の繰越控除又は償却を認める。
適用時期等:平成15年4月1日以後終了する事業年度から
3 中小企業・ベンチャー企業支援
同族会社の留保金課税
法令:措法68の2 措法68の109
同族会社の留保金課税制度について、自己資本比率(自己資本(同族関係者からの借入金を含む。)/総資産)が50%以下の中小法人(資本金1億円以下の法人)について、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始する事業年度について、留保金税を適用しない措置を講ずるとともに、現行の課税留保金額に対する税額の5%軽減措置を廃止する。
適用時期等:平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始する事業年度
同族会社の判定
法令:法法2I
同族会社の判定について、自社株を有する場合の判定方法を見直すほか、同族会社となる持分割合の基準を50%超(現行50%以上)とする。
適用時期等:平成15年4月1日以後開始する事業年度
交際費等の損金不算入
法令:措法61の4 措法68の66
交際費等の損金不算入制度について適用期限を3年延長し、400万円の定額控除を認める対象法人を資本金1億円以下の中小法人(現行資本金5,000万円以下の中小法人)に拡大するとともに定額控除額までの金額の損金不算入割合を20%から10%に引き下げる。
適用時期等:平成18年3月31日までに開始する事業年度
少額減価償却資産の損金算入
法令:措法67の8 措法68の103の2
中小企業の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度を創設することとし、中小企業者が、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、取得価額の全額の損金算入を認める措置を講ずる。
適用時期等:平成15年4月1日から平成18年3月31日までの取得
【相続税・贈与税関係】
○ その他の改正
二割加算
法令:相法18
相続税額の二割加算制度について、加算の対象となる者に被相続人の養子となった当該被相続人の孫(代襲相続人である者を除く。)を追加する。
二割加算した金額がその者の課税価格の70%に相当する金額を越えるときは、その加算後の税額は、その70%に相当する金額を限度とするという上限は削除する。
適用時期等:平成15年4月1日以後
生命保険契約に関する権利
法令:附則18
生命保険に関する権利の法定評価の規定について、所要の経過措置を講じた上廃止し、原則として個々の契約に係る解約返戻金の額を用いて評価することとする。
ただし、経過措置として施行日から3年を経過する日までの間に取得した場合には、その権利の価額は従前の例によることができる。
適用時期等:平成15年4月1日以後
【住民税】
○ 土地・住宅税制
優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡
法令:措法31の2 措法62の3 措法68の68
優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講ずる。
適用対象に、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の買取請求に基づくマンション建替事業の施行者に対する土地等の譲渡又は一定の要件を満たすマンション建替事業の施行者に対する隣接施行敷地に係る土地等の譲渡で、当該譲渡に係る土地等がこれらの事業の用に供されるものを加える。
適用時期等:平成15年4月1日以後
【その他の地方税】
○ 固定資産税の税負担の調整措置
土地等に係る固定資産税等
法令:附則17,18,18の3,22,24,25,25の3,28
(1)土地に係る固定資産税の税負担の調整措置
平成15年度評価替えの実施により、固定資産税が大幅な減収となること、市町村財政が極めて厳しい状況であること等を踏まえ、商業地等の宅地に係る課税標準額の上限(評価額の70%)を維持するとともに、課税の公正の観点から、引き続き負担水準の均衡化を図る措置を実施する。
@宅地
イ 負担調整措置
商業地等、住宅用地ともに現行と同様の負担水準に応じた負担調整措置を継続する。
ロ 著しい地価下落に対応した臨時的な税負担の据置措置
地価の下落傾向等に艦み、都市部を中心とした大幅な地価の下落による納税者の負担感に配慮し、平成9年度から講じられている臨時的な税負担の据置措置を継続する。
具体的には、税負担が上昇することとなる土地であっても、次の二つの要件をいずれも満たすものは、税額を据え置く。
(イ)その土地の負担水準が商業地等は45%以上、小規模住宅用地は55%以上、一般住宅用地は50%以上であること。
(ロ)その土地の3年間の評価額の下落率が全国平均(マイナス15%)以上であること。
ハ 平成16年度及び平成17年度における価格の修正
固定資産税の評価額は、地方税法上、基準年度(平成15年度が該当)の価格を3年間据え置くこととされているが、据置年度である平成16年度及び17年度には、地価に関する指標からさらに下落傾向が見られる場合は、簡易な方法により価格の修正ができる特例措置を講ずる。
A農地
一般農地に対する固定資産税の負担調整措置は、現行と同様とする。
一般市街化区域農地に対する固定資産税について、課税標準額の上限を評価額の3分の1とする等の措置を講ずる。
(2)土地に係る都市計画税の税負担の調整措置
固定資産税の改正等に伴う所要の改正を行う。
適用時期等:平成15年4月1日から平成18年3月31日まで
<hr>