一般的効果


[温熱効果]
温泉には種々の物質が溶け込んでいて、これらの物質が入浴中に皮膚を通して皮下に入り込み、皮下の血管を直接広げて温まった血液の流れを増加させるので、身体全体を温める。家庭風呂と違って強い保温効果が温泉にはあり、血管拡張作用の程度は、溶解している物質の種類による。炭酸泉や硫化水素泉、硫黄泉はこの血管拡張作用が著しく、食塩泉、芒硝泉も血管を刺激して血行を促す作用がある。

[静水圧効果]
入浴すると水面からの深さに比例して身体の表面に水の圧力がかかる。全身浴をした場合、腹囲が水圧によって縮むので横隔膜は上に押し上げられ、肺の容量は減少し空気の量が減るので、これを補うために呼吸数は増す。血管、リンパ管も水圧によって圧縮され、血液、リンパ液は入浴と同時にいっせいに心臓に戻ってくるので、右心はより多くの血液が供給される。したがって、呼吸運動や心臓の働きが増大し活発となり、肝・膵臓の機能も亢進する。

[浮力]
水中に身体を浸すと、体重はアルキメデスの原理で減少する。手、足は著しく軽くなり、わずかな力で動かせるようになる。軽くなったところで手や足を素早く動かすと、水の粘稠度、摩擦抵抗性が加わり筋力を増強させることができる。

[化学作用]
温泉にはいろいろな物質が溶け込んでいて、溶け込んでいる物質で様々な作用がある。炭酸泉では溶けこんでいる炭酸ガスが皮下を通して体の中へ浸透していき皮下の血管を拡張させる。硫化水素泉では温泉水中の硫化水素が皮下に入って血管を拡張させる。芒硝泉では硫酸ナトリウムが皮下の血管を刺激して血行を促す。

[非特異的変調作用]
温泉に入浴すると、温度、水圧、浮力、含有成分などが総合的な刺激として皮膚を通じて体に強い刺激を与える。体はこの刺激に反応して身体の調子を変える。この場合、温度、静水圧または動水圧、酸性度、成分など一つ一つの刺激の種類には関係なく、総合的刺激の強さと、これを受ける人体側の反応の仕方と程度が問題となるので、『非特異的』という。

ページ先頭へ サイトマップ