退くのだというきみは
どこに向かうのだろう
逃げるのでもなくいく
消えるのでもなくいく
わたしはふと不安がり
きみに嫌われたのだと
思った だってきみは
なにも言ってはくれず
あまりにも無口だから
退くのだというきみの
後ろ姿をさがしている
きみがみえないことが
真実だって風が言って
耳をふさぎたくなった
けれどきみはいくから
わたしは追っていけず
きみのはにかんだかお
そして困惑の顔ばかり
思い出す悲しみのいろ
黄昏のいろ深くもっと
退くのだというきみが
まぶしくてならなくて
目を閉じた いま
だからいま いって
処暑
2007/8/23