久々に夢と現実を混同した。
それは配達の帰り道、眠いのでリクライニングを倒して寝てしまった。
ラジオを夢うつつに寝込んだ。
なぜか海で泳いでいるところからそれは始まった。
体も冷えたし丘に上がろうと思った。
砂浜は遠いので、すぐ目の前の岩場。
「そこからあがろうよ」 と連れに云ったのは覚えている。
丘に上がったと思うが、車の中で目が覚めた。
一人だった。
ラジオが鳴っていた。
「なんだ夢だったのか!」
「又ラジオをつけっ放しで寝てしまった、バッテリーどうかな?」
キーを回す、案の定かからない・・・。
やや不安になる。
外は・・・うわオゥ!雪だ雪だ!結構積ってしまった!
こんな雪の中で・・!! すこしあせる。
再度挑戦。
ブルブルブル!
何とかエンジンが掛かったようだが頼りない音だった。
「ほんとに、かかっているのかな?」 そんな事を思った。
「危なくこんな雪のなかで、誰かにバッテリー借りる羽目になるところだった」
アクセルを踏む、雪を巻いて後輪か勢い良く回るのが見えた。
「帰れる」
すぐに山道だった。
山道は危ないと思い、まだ行った事のない平らな道を選ぶ。
幹線道路が見えた。
「どちらに曲がろうか?」
ふと見ると、助手席の足元にネコが居る。
おれが泳いでいる時から居たことになる。
「なんだお前も乗っていたのか!」
少なからず驚いたが、何故かすぐ納得していた。
「朝から何も飲まず食わずで良くおとなしくしていたな!今帰るからな」
心の中で声をかけた。
「こいつは以前荷台に乗り込んでいたネコだ」 と思った。
其の時はハッチを開けっ放しで荷の積み込みをしている間に潜り込んでいた。
途中で妙な声が聞こえて変だなとは思っていたが「ま、いっか」で放っていた。
一回りして帰ってドアを開けたら黒い物が飛び出してきて、びっくりした。
こいつはその時のネコだった。
ネコはおとなしくしていたが・・おれの指をくわえていた。
痛くはなかった。
さて、道に雪が積ってマッチロだなぁ!・・
結構、こういうの好きだぜ!
あれ!帰りの道の方向が分からない!
桑名市市内方向の標識が?消防署が見えてきたぞ!
これは間違って市内方向に走っているようだ。
対向車のトラックがチェーンの音を響かせてすれちがう。
「おれはチェーン積んでないから気を付なければ!」 そう思った。
雪の積った道はどこまでも真っ直ぐで真っ白できれいだった。
「国道に出れば何とか成るはずだが、逆だったか!」
と思いつつ、Uタウンができない!
戻ろうと思いつつも何故か真っ直ぐ走り続けた。
「ま、いっか!」
・・・・
また、目が覚めた!!!
「んっ!」 さっき目が覚めたばっかりだよ!!
しばらく状況が飲み込めない。
「あれ〜〜〜これも夢だったのか!!」 少し朦朧としている。
「雪な分けないよ、今は夏だよ」 やや正気に戻った。
しかしながら 又 寝ようとしている!
外はいつもの夜景、見慣れた街並。
「桑名市・・だったかな?どこの話だ」 人事の様につぶやく。
「ねこちゃんが乗っているからな、帰らねば」
ネコを早く開放してあげる義務感を強く感じる。
寝ようとする自分に気合を入れる。
「エンジンかかるかな? おや、ラジオは止まっているね」・・
ブルルン!!快調。
大丈夫かかった。
「よかったじゃないか」 だれかの声がする。
「気を付けないと、ぎりぎりだったよ!」 こんどは別のやつが言う。
「そう よく失敗するからね」
ラジオを掛けっぱなしで寝込んでしまいバッテリーを上げてしまうことがよくある。
「んっ!だれだ?」 おかしな事だ、車には私一人のはずだが?
「・・ま、いっか」 朦朧としているのでどうでもよかった。
途中で自販機からコーヒーを買って乾いた喉を潤し目を覚まさせる・・・
終着点が信号の向こうに見えてきた。
「もう 着いたのか!」 何でこんな感情が湧いたのだろう?!
いつものコースだ、近いのだ。
すぐ着くのは当たり前だし、こんな風に思ったことが無い。
「・・ま、いっか」 相当にいい加減なやつだ!
「さあ着いたよ」 ネコちゃんに云う。
おや!!
「あああああれえええええ!」 ね、ネコが居ない!
「ま!まさか!まだ夢の中あぁ〜〜〜?!」
一瞬本気で疑った、手で確かめてみた。
周りはまだ暗い・・・
いやいや、今は確かに現実のはずだ。
目がパチクリしてしまった。
驚いた。
ネコが乗っていると信じて疑わなかった自分に驚いた。
行動は正に現実だったが、意識はまだ夢の続きだったようだ。
・・・・・
リアルな夢だった。
頭脳がはっきりするにつれて呆然となった。
そして可笑しくなった。
現在AM3時。
でも・・あの街はいったい・・何所だったのだろう?
もし また目が覚めたら・・
万が一 もう一度目が覚めたら・・
自分はいったいどんな暮らしをしているだろう?
外は夜明けで白々して来た。
小鳥が鳴いてる・・
また、寝た。
H14年8月18日AM4時 記