海のような空にいて
波のような雲と戯れていた
腕のような枝の先にいて
小鳥のようなあのひとを待つ
愛しきいのちたちよ
光ふりそそぐ大地にあれ
揺さぶられるこころよ
その緑の羽根を休めよ
雨になる嵐になる空が狂う
たちこめる風をただ受け止めていた
ちちちちちあのひとが鳴く
どうすればいいのかと泣く
私は立ち竦む枯れ果てた木
折れることはたやすい
朽ちることさえできる
愛しきいのちたちよ
乾いた喉を潤すがよい
うなだれたこころよ
真っ直ぐに空を見上げよ
その時小鳥が舞い降りる
濡れた羽根がきらりと光る
陽と陰のはざまで私達は出逢った
恵みの雨だよとあのひとは言う
しずくがぽたり腕のその先
ああ私にはまだ指があった
ただ濡れることのありがたさよ
私はそっと手のひらで抱き止める
小鳥は羽根をふるわせて
その指を母のようにまさぐる
愛しきいのちたちよ
この恵みをなんと名づけようか
雨がふる 愛のように雨がふる