師走に入ると急に風がみえてくる
小魚のキラキラ光が乱れるが如く枯葉舞う
その中で3人の親子孫が身を縮めた
母が乳母車の毛布を直し祖母が風上に立ち
そして笑った
3人とも笑った、・・たぶん
何を待っているのだろう
ゆったりとしている
そう・・ゆったりとしている
ゆったりとした記憶が蘇える
母がいて祖母がいて
私の手には鮮やかな黄色い銀杏の葉が握られている
そしてゆったりと時は流れていたはずだ
何時の間にか時は渦を巻いて泡立ち風と競って荒れ狂う
この身だけではない あなたもそうだ
ただ違うことは私は幸せを放棄した
そしてゆったりした感性を取り戻した
木の葉が1枚乳母車に乗った
子供が目で追う母が目で追う祖母が手を伸ばす
そしてまた笑った
私はそのゆったりとした1枚の絵を見逃さなかった
夢のかけら