童子

一晩中 あの子が泣いて

朝になっても泣き止まなくて

もうだいじょうぶだよ

何も心配いらないよ

そう言ってあげたいのに

あの子は耳を塞いで

いやいやをする

抱きしめることができたら

どんなにか楽になるだろうに

せめて話ができたなら・・

せめて声が聞けたなら・・

だから・・

わたしは嫌われる・・・

そんなことを言わないように

元気出せる朝ならいいなあ。。

最大限の葛藤

お酒のむと・・めちゃさびしくなる

だから飲むのやめた

お酒のむと・・自制心ふっとぶ

だから飲むのやめた

お酒のむと・・本音が飛び出す

だから飲むのやめた

なのになんでや!!

お酒のむのやめたのに

さびしい・・・・

自制心が壊れる・・・

本音をぶちまけたい・・・

どうすることもできない

悔しくてたまらない

アホ。。

言われなくてもわかってらい!

アホは死ななきゃ直らない・・・

でも死ぬのコワイよな・・・

だからずっとアホでもいいや!

必殺シリーズ

満足を満足とするべし

これ以上欲しがってはならぬ

どうしても欲しいというなら

そのこころ抉り取り成敗してやる

それでもおぬし

まだやるか!!!

ふたり

少しだけ意地をはっている

負けたくないとわたしが言い

勝手にすれば!とあたしが言う

わたしとあたしはにらみ合って

どちらが泣くか待っている

悲しいと思う気持ちと

淋しいと思う気持ちと

どうでもいいや!という気持ち

なさけないや!という気持ち

ふたりはきっと一緒に泣く

涙が止るまで抱き合って眠る

睡魔さま

わたしを抱いて・・・

髪をなでて・・・

腕枕して・・・

まぶたにキスをして・・

ずっと朝まで

そばにいて・・・・・・

説教

どうしておまえは背中が気になる?

いくら振り向いても見えないだろ?

いったい何を見たいんだ?

それが大切なことなのか?

ばかだよ・・早く気付け・・

神様が人間をツクルトキ

ちゃんと前を見て歩けるように

目玉をふたつ下さった・・

そのことに感謝しよう

それがイチバン大切なことじゃないか!

27歳

死んだ子供はいつのまにか

おとなになって男になって

母さん・・しっかりしなよ!と言う

聞けなかった泣き声が聞こえてくる

生まれたかったよ

逢いたかったよ

母さんなんか大嫌いだ・・・

そう言って泣き続ける

私は必死で抱きしめようとする

でも子供は逃げる

とても怒っている

愛したいのに愛せない

愛して欲しいのに愛されない

過去が私を殺そうとしている・・・・

洗濯日和

ちょっとだけ濡れたはあとを

太陽にに逢わせてあげましょう

しわにならないように

両手でぱんぱんと叩いてあげて

しゃきっとしゃきっとしましょうね


げんじつ

どこにも行けない

羽根もない

飛べない

でも夢がある

それだけでいい

ほんの一日でいい

旅に出たい

ほんの一日で変れるなら

鳥になりたい

雲を抱きしめて

太陽に抱かれたい

そして風と話そう

もうきりがないねと

風が言うまで・・・・

はないちもんめ

おとなになると

出来ない遊びがある

口が裂けても言ってはならない

そんな遊びがあることを

早く忘れてしまわなければ・・・

再生

なくなればつくればいい

かんたんなことさ

そんなあたりまえのことに

きづかないでどうする

ゆっくりのんびり

わたしをつくろう

いちばんすきなかたちに

いちばんすきなこころに

もう・・・

なくなっちゃうよ・・

もうなにもない・・

私の血・・見せてあげようか・・

紅くなんかない・・黒いんだよ

からだじゅうの血が流れてく・・

気が遠くなる・・

もうどうでもいい・・

ばいばい・・私

ばいばい・・モウドウデモイイヒビ・・・・・・・

さよなら

このふたつの目をくりぬいて

踏みつけてつぶして欲しい

ころころと転がるなら

砂浜がいい・・・・・・

二度とあなたが見えないように

私を蒼くして私を流して

私をつぶして私を処分して

私を・・・大嫌いになって

切断

今すぐ切って

今なら間に合う

もう何も伝えないから

私を許して・・・

あなたの手で私を消して

あなたの手で私を殺して

どす黒いかたまりが

ポタポタと落ちる

水に溶けて真っ赤になる

ああ・・これが私の血?

指先から流れる血よりも

手首から流れる血よりも

激しい紅をくちびるにさして

私はおんなを認めている

今夜は私に近づいてはだめ

きっとあなたを殺してしまうから・・・

ゆでたまご

コツコツとぶつけられて

ひび割れて皮を剥かれて

つるりとあなたの手から落ちる

床を転がり埃にまみれて

拾いあげられて水を浴びせられる

冷たいよ。。。

早く熱いからだになりたい

私は汚れたゆでたまご


頭痛

右を向いたらずきっ

左を向いてもずきっ

下を向いたらがくっ

後を向いたらよれっ

仕方ない前を向いて歩こう!

眩暈

どうしてこんなに難しい字なのだ!

めまいならめまいらしく・・

丸くなって寝ていなさい!

眩暈よりもめまいのほうが

可愛いと思うよ!

不調

この耳鳴りが・・海鳴りならいいなあ。。。

信頼

それは依存することではない

それは親愛とは似ている

でも頼りすぎてはいけない時もある

雨上がりの朝が好きだ

空気がひんやりと胸に届く

背伸びをしてみる

高く高く空を飛びたい

青空に吸い込まれて

遠くの町へ行ってみたい

私のことを誰も知らない

はじめまして!と言える町

柔らかな夜

こんなふうに柔らかな夜が好きだ

なにも深刻なことがない

なにも悩むことがない

時間がゆっくりと歩く音を

ひとり静かに聞いているのが好きだ

「私を独りにしてくれてありがとう」

こころが乱れる夜はいらない

そっと静かに眠りたい

私はわたしを抱きしめていたい

誰の胸も誰の腕もいらない

こんなふうに柔らかな夜が愛しい






2001年11月の詩

詩織の部屋へ