耳をすませば声が聞こえる
ほらちゃんとここにいるよ
行方知れずになったきり
もう帰らないと諦めた声
伝えてはいけないと言って
背を向けて消えていった声
ほらちゃんとここにいるよ
ずっと忘れてなんかいないよ
声
2002/04/16
交差点ですれちがって
振り向いて見た背中
元気だなってほっとした
行かなくちゃって思った
風みたいに爽やかで
雲みたいにのんびりと
時の流れに逆らわず歩く
あなたの背中が大好き
歩く
2002/04/18
彷徨って辿り着き
呼んで声を嗄らして
何処かにきっと
ああこれかもしれない
そんなふうにあなたを
探し続けるながい夜が
今夜も終わる・・・・
足跡
2002/04/22
私の乗った船が沈む
波にさらわれて沈む
私はもがいている
もしかしたらあの島へ
泳ぎ着けるかもしれない
海に濡れる海を呑む
乱れた髪と腐る身体
伸ばす手叫ぶ声荒い息
乗らなければよかったんだ
神様が笑う・・・・・
沈没
2002/04/26
太陽の光が私を突き抜ける
葉に薄緑の血を流し風になびく
落ちた日もあった腐った記憶も
私は土の一部と化して雨に打たれ
あの時なにを想っていたのだろう
踏まれる度に強くなりたいと
かたちのない身体を支えて息をした
ああ眩しいこの陽の光りに溶けたい
萌え続けてやろうこの森は私のものだ
新緑
2002/04/27