傷つけるより傷つくほうが幸せと思っているかもしれないナイフ

痛かった?とほんとは聞きたいでもボクは切るためだけにここにいるから

泣かないで!っていつも言っているけどねきみを切る時ぼくは泣いてる

ナイフのつぶやき

しとしとと雨音だけが耳につくせつなくもありこころしとしと

柿の葉の光る雨滴をながめれば静かな午後も愛しく濡れる

小雀のちゅんと鳴きたる窓辺には雨だれさんがまだ泣いている






雨だれさん

詩織の部屋へ

書きなぐりの短歌

どうしてさまだまだなのに邪魔するの?こんな時間に眠らすなんて

逮捕してお縄にするぞ睡魔おまえはどんな顔してる?振り向け!

あたし時間ないんだよ知ってるくせにいじわるばかり許さないから!

むにゃむゃとすやすやとはらはらと夢をみさせて夜の悪魔は天使




             夕焼け小焼け

太陽さん今日も一日お疲れさま明日もあたしに元気ください

きれいだねひとりつぶやく夕暮れの風がちょっと優しい川面

明日またちゃんと笑顔みせてよね指きりげんまん嘘はきらいよ

ほんのりと染まったこころに風そよよ好きだななんて思う夕暮れ




               乾杯

いっぱいの嘘つきごめんねでも少しだけ幸せだった日々に乾杯

あたしじゃないあたしと逢えばよかったねそしたらきみはもっと幸せ

たぶんもうあたしはあたしでなくなるのかなそんな理不尽許されるかな

おいしいね何て名前のカクテルかなちょっと刺激がぐっとくるよね

その名は睡魔

こんなにも広かったかなって思ったよあいたかったんだ海へまっすぐ

水平線空にとけてるみたいだね嬉しいだろなきっと今日は

静かだな波がうたた寝してるんだもっと船も優しくおなりよ

鳴るのかな夜になったらたまらなくさびしくなるかもしれない海

こんどまたあう時きっと見つけてね足跡つけておくからさ砂

海へ

ばかだなって思うよいつも夜更けには理不尽すぎる今が苦しい

ひとりだけどんどん進んで何処へ行く立入り禁止が見えないかばか

せつないねどうしてこんなに想うこといっぱいあるのかわからない

だめだよねあたしこれじゃあピエロだしきみはスター遠いよね

わからないことがたくさんありすぎるだからあたしはこのまま雨

もういいよなにも知らない知りたくないそっとしといて眠るから

シャッターが下りる店に駆け込んで待ってと言ってるみたいな今

夜更けにはため息でるのがあたりまえでもあたりまえじゃないあたしがきらい

  立入り禁止

 

そんな無駄な言葉は叫ぶだけ無駄かもな優しいだけじゃダメだよきみ

へるぷ

雨だけの朝ゆっくりと窓あけて待つ声待つひと待つおんな

濡らしたいだけ濡らせばいいからからのはあとあげる流してもっと

後ろ指折って噛んで砕きたいそれでもいいなら指せば勝手に

やめてこっそり覗くのはここにいる生きているからいま抱きしめて







おんな