ひとつ
波が波に抱かれ
わたしの時間も重なり逝く

滑らかに巻き込まれ滑り
人間のように抱き合い もつれながら
渦を生みながら音を立てて
波は崩壊した

わたしのなかで
実りの充実が輪唱となる


それは未完成の生のあらすじであるのに
善悪も是非もわからないまま
夕べの波が
今宵の波に重なり
輪唱となる

ひとつ
悔い改めるべき今日も
風のアカペラに掻き消され
いつまでも
波が波に抱かれ
わたしは戸惑いながら波に漂う 

重ねる

natuko

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