ひとつ 波が波に抱かれ わたしの時間も重なり逝く 滑らかに巻き込まれ滑り 人間のように抱き合い もつれながら 渦を生みながら音を立てて 波は崩壊した わたしのなかで 実りの充実が輪唱となる それは未完成の生のあらすじであるのに 善悪も是非もわからないまま 夕べの波が 今宵の波に重なり 輪唱となる ひとつ 悔い改めるべき今日も 風のアカペラに掻き消され いつまでも 波が波に抱かれ わたしは戸惑いながら波に漂う
重ねる
natuko