ふっと
吐息を するように
しごとを辞めた
木漏れ日に気付く
空の青さにも
とうといことなのに
さみしかった
ふりかえると
なくしたものばかり
男の あまいてのひら
あとかたもないはずが
ふいに浮かび上がる
あと数日で
ふたたびちがうしごとにつく
ひとり
なくしたものばかり
かぞえないですむ
送別に頂いた
黄色いバラが
水をほしがっているように
わたしも
そとに出たい
十二月
島田 奈都子