つかの間の 夢を
物語るのに
写真などいらない

覚えていたくないことなら
火にくべてしまったほうが
潔い

けれど
どうしてか写真は
思いもよらないところから出てくる

子供のおもちゃ箱から
ポケモンの
指人形と一緒に

写真と呼ぶには
黄ばんで
みっともない代物だけれど

そういうものに限って
大切な季節だったりする

あなたの
残した子どもは
わたしのそばにまだいます

だからわたしはもう
写真は撮らない

成長を見つめる
この目が
シャッターそのもの

生きてゆく夢の中が
ネガ
そのもの

さようなら

家族という名の
古い写真の扉










写真
島田 奈都子
詩織の部屋
作者の詩集