不滅の いのちは
仮の姿であることを
知り
春の嵐に
さくらは怯え始める

わたしは
ふと真夜中に
悲鳴をあげるくせがついて

あぶらあせの海の中で
沈んだまま
ゆうらゆうら

朝と呼ぶ 魔物は
しずかな夜の平和を乱し
真珠色の 空を
だだっ広いシーツのように広げ
圧倒する

わたしは
意味を考える

このまま
ひとり 骨になる日のことを






島田 奈都子