視 線



皆さんは、この世の者ではない存在の視線を感じた事があるだろうか?

私の知人が恋人の部屋でドラクエをしていた時の事、部屋の隅から注がれる強い視線を感じたそうだ。
部屋の中には彼女しかいない、視線を浴びせてくる者など存在しないのに。 視線の主の存在感はどんどん大きくなっていく。 もはやゲームどころの話ではない。 いっそパルプンテでも唱えてしまいたい状況である。
彼女は勇気を振り絞ってそちらを見てみるが、当然そこには誰もいない。 だが、相変わらず視線を感じる。 何かがいる強い気配を感じる。
そこは大きな墓地の横に立てられたアパートの一室、あちらの住人がやって来ても何ら不思議ではない。
何かがいる・・・ この世の者ではない何かが・・・
彼女は恋人に、早く帰ってきてと電話したそうだ。 そして、恋人が帰ってくるまでその部屋で震えながら待っていたそうである。

この話を聞いた時、私にも似たような体験があった事を思い出した。


 体験 壱
学生の頃の話である。 私は幽霊話には事欠かない某大学の男子寮に住んでいた。 部屋に入った正面にある窓の手前に向かい合うように机が置いてあり、その左側が私の机だった。 想像してもらいたい。 普通の机は右側に引き出しがあり、左側に座るようになっている。 つまり、席に座った私の左側面はすぐに窓なのである。
ある日の夜、私は机に座って勉強をしていた。 ふと、左側の窓が気になってきた。 その窓の外から私に注がれる強い視線を感じたのだ。

何か、いる・・・

寮は大学敷地内に建てられており、当然そこも季節を問わず幽霊話のあるようなところだ。 背筋に冷たいモノが流れる。 私は石のように動けなくなった。 依然、視線の主は消える事なく存在している。 私はなけなしの勇気を振り絞って窓の外を向いた。 急に暗いところへ視線を送ると、最初は何も見えないモノだ。 徐々に目が順応してくる。
私の目の前、窓の外にボウッとした人影が浮かんできた。
『ぎゃあああああああああ・・・』
私の悲鳴が部屋中に響き渡った。



 体験 弐
学生の頃の話である。 私は幽霊話には事欠かない某大学の男子寮に住んでいた。 部屋に入った正面にある窓の手前に向かい合うように机が置いてあり、その左側が私の机だった。 想像してもらいたい。 普通の机は右側に引き出しがあり、左側に座るようになっている。 つまり、席に座った私の左側面はすぐに窓なのである。
ある日の夜、私は机に座って勉強をしていた。 ふと、左側の窓が気になってきた。 その窓の外から私に注がれる強い視線を感じたのだ。

何か、いる・・・

寮は大学敷地内に建てられており、当然そこも季節を問わず幽霊話のあるようなところだ。 背筋に冷たいモノが流れる。 私は石のように動けなくなった。 依然、視線の主は消える事なく存在している。 私はなけなしの勇気を振り絞って窓の外を向こうとした、その時だった。 待てなくなったのか、そいつは窓に跳びつき、部屋に侵入してくるかという程の勢いで暴れだした。
『ぎゃあああああああああ・・・』
私の悲鳴が寮内中に響き渡った。



 体験 参
学生の頃の話である。 私は幽霊話には事欠かない某大学の男子寮に・・・

  ( 中 略 )

何か、いる・・・

寮は大学敷地内に建てられており、当然そこも季節を問わず幽霊話のあるようなところだ。 背筋に冷たいモノが流れる。 私は石のように動けなくなった。 依然、視線の主は消える事なく存在している。 私はなけなしの勇気を振り絞って窓の外を向こうとした、その時だった。 そいつは窓を開け放ち、私の腕を掴んできたのだ。
『ぎゃあああああああああ・・・』
私の悲鳴が大学敷地内中に響き渡った。



  教訓
何処の世界でも、OBと呼ばれる存在は何を仕出かすか判ったモノではありません。 油断は禁物です。 それと、他人を驚かすのも程々にしましょう。 相手が椅子から転げ落ち、怪我をしてしまうかもしれません。 注意しましょう。




解りました!