薄暗い廊下を進んでいく。 死角となる背後を壁に向け、私はキッチンやリビングを順に覗いてみた。 もちろん、いきなり物陰から 刃物を持った人影 が襲いかかってきても反撃出来るよう身構えながら。 ・・・誰もいない。 考えたくはないが、変わり果てた家主の姿もなかった。 次に和室を覗いてみる。 暗闇に浮かぶ五月人形が私を驚かすが、やはり人影は見当たらない。 さすがに押し入れの中は躊躇したが、机の下や家具の影まで もれなく探していく。 年の為、トイレや風呂場を確認した後、私は階段を慎重に上って行った。 もし、この家の中に許されざる 殺人鬼 がまだ潜んでいるとしたら、既にこちらの存在には気付いているハズだ。 何故そう考えるのか? 外出したような形跡もなく、家の中に人がいる気配もしない。 あの視線以外は・・・ そう考えてしまうのも仕方がないだろう。 二階にも誰もいなかった。 私は階段を下り、暗い玄関まで戻って来た。 やや緊張が緩んできていた。 これは一体どういう事だろう? 私はもう一度和室を覗こうと思った。 玄関のすぐ近く、廊下側面に窪地のようになって和室への入り口があるのだ。 その空間へ入り、襖に手をかけた刹那、全身の毛が逆立った。 私の背後に人の気配がする・・・ そういえば、視線を感じたのはこの横を過ぎた辺りだった。 振り返った私の目の前に現れたのは、 赤い、とても赤い目をした身長二メートルは あろうかという人影だった!! しまった、殺られる!! ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 人影はいつまで経っても襲いかかってこなかった。 暗闇の中、私はもう一度その人影を注意深く確認した。 そこには・・・ 赤い、とても赤い目をした・・・ 仮面ライダー アギト が 立っていた!! テレビマガジン六月号の付録には、仮面ライダーアギトの等身大ポスターが付いていたそうです。 おじいさんの車で戻ってきた、 もっと早く外してくれ!! ちなみに、その子供にと私が選んで買ってきたのは、仮面ライダーアギトの人形でした。 教訓 思い込みもほどほどにしましょう。 とんでもない結果を招いてしまう事になるかもしれません。 それと、言うまでもない事ですが、 外出する時には戸締りを確認して おきましょう!! |