廃 墟


四・五歳位の頃のお話です。
私は姉ちゃんと姉ちゃんの友達とでソコにいました。 ソコは、とても
小さくボロボロで、まさに廃墟と呼ぶに相応しい建物でした。 昼間だと
いうのにソコはとても暗く、ほとんど明かりがありません。 足元が見え
ない位に暗かった事を記憶しています。 私はソコに入る事を寸前まで
抵抗していましたが、結局 姉達に押し切られてしまったのです。
肝だめし
こういった行動をそう呼ぶのが相応しいかどうかは判りませんが、
ソコはただ いるだけでもかなり怖いトコロでした。 僕は男の子だから
姉ちゃん達を守らなければ・・・ なんて考えは微塵もありません。
私は ただただ怯えて姉ちゃん達の後についていきました。

細い通路に出ました。 屋内だというのに笹が見通しを悪くしています。
その通路を進もうとした時、突然
通路の奥から物凄い奇声が!!
通路の先に、長い髪を振り乱し、白装束をまとった
人影が現れました!!
しかも近付いてきます!!

パニック!!
私達は悲鳴を揚げました! 慌てました! そして・・・
事もあろうか、
姉達は幼い私を置き去りに
逃げ出してしまいました!!

迫り来る人影は姉達には目もくれず、座り込んで泣き叫ぶ私の方へと
近付いてきます。 逃げようとしても下半身に力が入りません。 立つ事
すら出来なくなっています。

コシが抜ける

このような謎の現象は昔話だけの話かと思っていました。 まさか
私がその身で体験してしまう事になるとは お釈迦様でも気が付かな
かったでしょう。 人影は既に私の目の前まで迫っています・・・


私は オバケの格好 をしたおっちゃんに おんぶ されてオバケ屋敷を
出ました。 その あまりの光景にみな言葉を失っています。
『あら あら あら』 なんて言い出す全然知らない おばちゃんもいます。
その中で姉達は大きな声で笑い転げています。

ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ
(メラ・メラ・メラ・・・)


あれから二十数年 経ちました。 私の呪い、未だ成就せず。


  教訓
イヤな事は はっきり断りましょう。 その場に流されるだけではロクな
目に遭いません。 それと、家族を見捨ててはいけません、姉ちゃん。
未だに忘れられんじゃないかぁぁぁぁぁぁぁ・・・



解りました!