学生の頃、あるゲームを買いました。 タイトルは 『弟切草』 といいます。 当時、サウンドノベルというゲームジャンルが流行りました。 画面に 表示される文章を読んでいき、途中で現れる選択肢によって変化する 物語を楽しむといったゲームです。 その先駆者がこのゲームでした。 ストーリーはホラー物で、突然の効果音とかが多いに私をビビらして くれました。 欠点は、選択のしかたによっては前半と後半のつじつまが合わなくなる点です。 ですが、その分ストーリー変化に幅があり、この手のゲームの中では一番面白いと私は思います。 その中でも、前半・後半のつじつまも合い、とびきり怖いストーリーになる選択肢もありました。 初めてプレイした時、私は知らず知らずの内にそのストーリーになる選択肢を選んでいたのです。 夜、私はひとりでそのゲームを楽しんでいました。 そのゲームは とにかく怖く、私はかなり熱中していました。 夜の山奥、不気味な洋館に迷い込んだ主人公とその恋人。 彼らはそこで昔の黒い電話機を見つけ、助けを呼ぼうと受話器を手に 取ります。 ・・・しかし電話は繋がりません。 コードが切れている事に気付いた主人公が受話器を下ろした刹那、 ジ・リ・リ・リ・リ・リ・・・ コードが切れているハズの電話が鳴りだしました。 受話器を取ると、女性の声が・・・ 受話器を下ろすと洋館の他の部屋から ジ・リ・リ・リ・リ・リ・・・ ジ・リ・リ・リ・リ・リ・・・ あちらからもこちらからも電話の音が鳴りだしました。 流石はスーパーファミコン、ステレオ対応!! 臨場感バツグン!! 追い詰められる主人公達!! ビビりまくる私!! そして、 ピ・ロ・ロ・ロ・ロ・ロ・・・ すぐ横で 突然鳴りだす私の電話!! 『うわああああああああ・・・』 何故、その時電話機を近くに持ってきていたのか? いや、それよりも 何故こんなタイミングで鳴りだすのか? もしやこのゲームには魔力が あり、現世とシンクロしているのか? 恐る恐る手を伸ばし、受話器を 取りました。 女性の声が聞こえてきたらどうしよう・・・ 『もしもしぃ、河野(仮名 ♂)だけど、今 なにしよん?』 『・・・・・・・』 『・・・もしもし?』 『あほぉっ!! 夜中に電話掛けてくるなぁ!!』 逆ギレとはこういう事を言うのでしょうか? 次の日、納得のいかない河野がウチへ来ました。 早速 例のゲームを やらせました。 彼の後ろで私は念じました。 強く、強く念じました。 私と同じ展開を選択しろぉぉぉぉぉ!! 彼は次々と私の念じた通りの選択をしていきました。 とびきり怖い展開になる選択を。 恐るべし、人の念!! ゲームを終えた彼が私に言いました。 『昨夜は悪かったな・・・』 教訓 八つ当たりはいけません。 友達を大切にしましょう。 それと、これだけ携帯が普及した今では説得力がないのですが、 夜中の電話はやめましょう。 良い子はマナーを忘れないように しましょう。 |