大木を迂回した私の目の前に現れたモノ。 それは黒く大きな 目玉!! しばし見詰め合うオメメとオメメ。 それが巨大生物の目玉だと解るのには時間を要しました。 謎の巨大生物襲来!! いえ、私はヤツを知っています。 ドコだ? ドコで見たんだ? 私は必死で記憶の糸をたぐり寄せました。 そして、私の脳裏に 浮かんで来たのは、乳製品で有名な某食品会社のロゴマーク。 こいつはもしかして・・・ウシ? 白と黒で構成されたその身体。 プルプル動く耳。 間違い無い!! ヤツの名は 牛!! その時思い浮かんだのはスペインの闘牛。 頭の中で突然流れだす 情熱的なメロディー。 ヤツは醜く口を歪めています。 何て不敵な笑みなんだ!! しかし、正義の魂だけではこの体格差は埋まりません。 ヤツを見据えてジリジリと後退する私。 ヤツはケモノだ・・・ 目をそらすとヤラレル・・・ そして、先程の大木より数メートル後退した私は全速力で走りだし ました。 ケモノに背を向ける事の危険性は当時の私でも十分知って いました。 しかし・・・ それだけ怖かったんだぁぁぁぁぁぁ!! 山の麓へと生還した私は全てを悟りました。 やけに重かった両足、あの時 私の足にまとわりついていたモノが 牛のフンであったという事。 そして、本物の牛はとてつもなく でかいという事に。 教訓 危険を感じたら引き返しましょう。 進むのが勇気なら、引く事も また勇気なのです。 しかし、牛って本当にでかいです。 後にも 先にもアレ程の恐怖は なかなか体験出来ません。 |