闇に潜む影


私は九歳の頃、『みのりが丘』という住宅団地へ 引越ししました。
新しい家は(家具が少ないという事もあり)とても広く、夜中に
聞こえる水道管の音や下水の音に慄きながらも新生活を楽しく
過ごしていました。 あの日までは・・・

その夜、お風呂から上がった私は何ともいえないイヤな気配を
感じました。 ソレは薄暗い階段から発せられています。
小さな窓のある階段から・・・
『何かいる・・・』
確かめるべきか・・・ 親に助けを求めるべきか・・・
迷いながらも私はひとりで階段へと近づいていきました。
薄暗い階段・・・ もっと明るいライトにしてくれたらよかったのに・・・
そんな事を考えながら一段目に足を掛けた時、
突然動き出す黒い影!!
長い触覚、
草履のように平べったいスタイル、
黒く光るその肢体、
私はヤツを知っている!!
しかし、驚くべきはその大きさ。 前の家にいたヤツらとは比較に
ならないその巨体。

きんぐ おぶ ごきぶり!!

ここ『みのりが丘』ではこんなヤツらが量産されていたのか。
なにが実っているのか分かったもんじゃない。
ここでヤツらに永住権を与えてやる義理はない。 ヤツらには貸しは
あっても借りはないのだから。
『ゴキブリが来たぁぁぁぁぁ!!』
叫ぶ私!!
『逃がすな!!』
母親の号令のもと、私達は手にエモノを持ってヤツを追いかけ ました。

強まる家族の絆

ヤツらとの飽くなき戦い(第二幕)はその日から始まったのでした・・・


  教訓
共通の目的・困難を前にすると、人は助け合います。 人はひとりでは
生きていけないのです。 『前と言う事が違う!』 なんて言っては
いけません。 助け合いの精神を大切にしましょう。 それと、ヤツらは
害虫です。 みんなで戦いましょう。



解りました!