窓の外を見慣れた風景が流れていく。 激しい混雑を覚悟していたのだが、うれしい誤算だった。 4・5割は席が空いている。 列車の旅もいいものである。 やがて見知らぬ風景へと変わっていく。 そろそろ私の生活圏を越えてきたようだ。 ずっと窓の外ばかり眺めている。 まるで子供である。 やがて関西圏へと入っていき、数名の乗客が入れ替わった。 そして異変が起こった。 私の鼻孔を刺激する悪臭!! 周囲には人がいない!! 私の前に座っている人物を除いては!! (誰でもできる)毒ガス攻撃!! こやつ オ○ム の在家信者か?! 私はたまらずタバコに火を付ける。 そう、ここは喫煙車両。 それも空いている理由のひとつなのだろう。 列車は京都を通過した。 山の中を走っている。 ここらには雪が残っている。 雪国育ちである私は、こういう風景はとても好きだ。 少し暗くなってきたので雪の白がよけいに映えて見える。 とても綺麗だ。 しかし、とっても退屈だ。 今ごろみんなは八王子の城跡だろうか・・・ 名古屋駅に着いた。 メールを送ってみる。 とにかく退屈だ。 外の風景は宵闇が迫る町並みになっていた。 ポツポツと明かりの点いた窓が見える。 夜のネオンもいいが、夕方のこういう風景はいい。 人が住んでいる実感というか、何か暖かさを感じる。 新幹線という少し高い位置から見るそれは、私の心に強く残った。 写真でも撮れればいいのだが、私はカメラを持ち歩かない人、しかも新幹線の中。 仕方がないので私の心の中に100年プリントする事にした。 夕方の風景はすぐに過ぎ去ってしまう。 だからこそこんなに心に残るのかもしれない。 暗くなった窓の外には静岡という文字が見えてきはじめた。 もうすぐだ。 もうすぐでこの退屈から開放される。 ふと見ると、携帯にメールが届いていた。 当然マナーモードにしていた私はメール着信に気が付かなかったようだ。 この年末に私達の間で流行った言葉を交えながらメールを送る。 期待通りの返事が返ってくる。 こういうやりとりはとても楽しい。 見覚えのある駅に到着した。 ここは目的地、新横浜駅である。 私は再びこの地を訪れたのだ。 つ づ く |