星ひとつの夜![]() 《放送》2007年5月25日 フジテレビ 《脚本》山田太一 《出演》渡辺謙 玉木宏 笹野高史 国中涼子 いしだあゆみ 星ひとつの夜 脚本山田太一、主演渡辺謙スペシャルドラマ。07年5月に放映され、09年1月24日に再放送された。 山田作品は20年以上の海外生活から帰国した1984年に「真夜中の匂い」にはまったこともあり、玉木君が“国際俳優渡辺謙”とどのように渡り合うのか楽しみで観た。土曜午後の放送でコマーシャルが多く、ドラマは、実質1時間半になっていたので、オリジナルとはすこし違うかもしれない。 1対1の対話シーンが多いのだが、一人が語り、もう一人は「はい」「うん」で答えるという台詞運びはおもしろかった <以後ネタバレ> ロックコンサート後、レストランを予約したことにおこっているデート相手(国仲涼子)を追いかける玉木君。白いシャツ、グレーのプルオーバーに薄色のジーパンという衣装に、目が隠れるほど頭頂からたらした、つやなし無造作ヘア。とまじめな大学生の雰囲気。頬もふっくらとして若々しい。 場面変わって劇場内部。ガムを床のみか、座席の裏までくっつけてあるなどという「ロックコンサートの観衆って本当にこんなマナーなの?」と思える掃除風景。現金50万円あまりがポケットにつっこんである忘れ物コートを見つけた野々山廣治(渡辺謙)がチケットの郵送先の住所を頼りに持ち主を訪ねてゆく。お台場地区の高級マンションのロビーに降りてきた玉木君演じる岩崎大樹(26)。このときから何となく陰のある表情。「恋愛小説」の誠人を連想。「なんでコンサート終了後2時間以上経って」といぶかる岩崎に「掃除をしていたから」という野々山。お札の半分ぐらいをお礼にと渡そうとするが、「カネはいらない」と帰ってしまう。 翌日、コンサート終了後のホールをのぞいて、野々山に近づく岩崎。「勤務中の立ち話はできない」という野々山をPC操作しながら待つ岩崎。「せめて10%受け取ってください」「掃除といっても監督かと思った。掃除しているところに感動しました。あなたにはオーラがある」と食い下がる岩崎を「気持ちはもらった」と振り切った野々山が訪ねた先は井川比佐志、赤座美代子演じる保護司夫婦の家、懲役11年の前科のあることがわかる。「孤独はいけない。良さそうな人に出会ったのなら、訪ねてみなさい」という保護司夫婦。 早く掃除が終わった日に岩崎のマンションを訪ねる野々山が座って待っているマンションのロビーはラブシャーのまるでオフィスのような無機質さと違って明らかに人が住んでいる雰囲気がある。降りてきた岩崎の格好は黒のVネックのセーターから白いTシャツがのぞくホリエモン風。もちろん中身の美しさは比べものにならないけど。 岩崎は「金持ちの息子」といぶかる野々山に「一人暮らしだし、上に来て」と誘う。通された最上階の部屋はモデルルーム風の没個性な白い/広いリビングルーム。大型TVと高そうなスピーカのほかはIKEA風のグレーのソファーと白ラミネートのテーブル、収納家具。「必要な物しか買っていないので」と云いながら、飲み物をオファーすると野々山が選んだのはなんとブランデー。すばらしい眺望をほめる野々山に「いつも見ているから」とさめた岩崎。野々山は「自分も人に知られたくないことが多いから、他人にどうこう云うわけにはいかないけど、君の状況はおかしい」と説教してしまう。 保護司のところで「飲み過ぎて、いらない説教をしてしまったから、もういけない」としょげる野々山の予想に反して、掃除をしている劇場に岩崎の友人と名乗る宮下奈津(国仲涼子)がやってくる。休憩時間に前のコーヒーショップで岩崎から頼まれたと5万円入った封筒を渡し、「5回デートしているが、家の場所も教えてくれなかった。この間やっと教わったが、マンションは外国に行っている重役の留守番として入っていて、女人禁止だと云われている」という奈津。このとき前の説教で使った「人にはおもいがけない理由がある」を岩崎が述べたことにちょっとびっくりする野々山。 もう一度訪れた野々山に、「隣の部屋」を見せて、大学の時からデートレードを始めて、今は90億(!!!)の資金を運用している。でも社会を知らないから、人の見分けをできないので不安がある。少なかった友人も離れていって、今は孤独。彼女に家を見せないのも本当に好きな彼女がお金で態度が変わってしまうのが怖いからと打ち明ける岩崎。「それなら何で俺を信用するのか」といぶかる野々山に、「お金をもらわずに帰ったから、金持ちかと思ったが真剣に掃除をしているところを見て、感動した」との返事。 父親は子供の時に亡くなり、母親とは2年もあっていないと聞いた野々山は岩崎の母(いしだあゆみ)の勤め先のホスピス棟のある病院へ。 ホスピス棟の部屋はちょっとしたマンションより広く、調度も高級という現実離れの中で、「コンピューターでのお金儲けなんてことをしないで、地道に働いてほしい。簡単に手にしたお金は簡単になくなる。あの子を大事思ってくれるならやめさせてください。お金は絶対に受け取りません」という母親。(大学卒業の時に渡された500万円を喜んで受け取ってやったら、かえって生業についたのではと思ってしまった)。この顛末を聞いた岩崎は「あの人は頑固なんです。元はといえば、配送や引っ越しで稼いだバイト代。今だって一日中気も休めず働いている」という。野々山もそれに同調する。年の離れた友人関係がここにできあがる。その後、運河沿い散歩する二人を掃除仲間(笹野高史)が見つめている。このときの岩崎のコートはダッフルとまだ大学生風。 もう一度マンションを訪ねると、ちょっと変な感じ。奈津がいる。「デートレードで3億円もうけた。このマンションも即金で買ったことも話した」とさりげなく奈津についた嘘を伝える岩崎。ソファーに腰掛けた野々山を立ったまま、見ている若い二人。何でといぶかる野々山に、「はっきり聞いた方がよいと思って」と奈津が口を切る。レストランで食事をしている二人に掃除仲間が野々山に前科(殺人で11年服役)があると告げたことを。「そうだ」といって去りかけて、急に戻ってくる野々山。ギョッとして立ちすくむ二人。「もういうまいと思ったけど俺はやっていない」といってマンションを出でゆく野々山。 いかにも木賃アパートという部屋でジャンパーを着たままうたた寝をしている野々山を岩崎と奈津が訪ねてくる。そして、冤罪である殺人事件の詳細を聞いて帰る。 野々山を横浜へのドライブに誘う2人。岩崎は車はもちろん運転免許も持っていないと運転する奈津がいう。高価な車のコレクションをするそこらのIT長者との差別化なのか。野々山を娘の待っている高級レストランへ押し込んだ若い二人は車の中でコンビニ弁当。やっと、「だだ待っているだけじゃ」といってキスする岩崎。玉木君演じる典型的なウブな青年ですね。 お台場を歩く岩崎に「せめて娘との食事代だけは自分に払わせてくれ」と頼む野々山。「今日のマーケットは?」と聞いていると手を振って「いいんです。今幸せですから。コンピューターだけじゃなくて人のために何かしたいんです」という岩崎。振り返ると奈津が近づいてくる。 エンディングクレディットが流れている後ろの画面は岩崎のマンションに集まった探偵たち。被害者の女性の写真を大スクリーンTVに貼り付けて指示をしている岩崎。真犯人は見つかるのか? 孤独だけど、俺様でもヘタレでもない青年を演じるのって素のままと思われそうですが、寂しげな表情、嘘をつくときの表情などよかったです。只のハンサムボーイ(イケメンは私の辞書にないので)を演じた「赤い運命」より見応えありました。演出の違いでしょうね。 |