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ただ、君を愛してる
《公開》2006年10月28日 東映
《監督》新城毅彦
《原作》市川拓司
《出演》玉木宏 宮崎あおい 小出恵介 上原美佐 黒木メイサ
《HP》
『ここは渡れないから向こうから渡ったほうがいいよ。』
物語は大学の入学式の日、誠人(玉木宏)が横断歩道で静流(宮崎あおい)にかけたこの台詞から始まる。誠人の助言にもかかわらず、ずっと手を挙げ続けて車に止まってもらおうとする静流。
そんな静流の姿を誠人が写真におさめたことがきっかけで、二人の交流が始まる。静流は誠人に恋心を抱くが、誠人は別のクラスメートに心惹かれていた…。
この映画は全編にわたって風景描写が非常に美しい。私は映像があまりに美しいが故に、最初は物語のリアリティを感じられないでいた。
しかし、映画を見終えた時、その美しさが脳裏に強く焼き付いていたのだ。
なるほど風景はリアリティではなく、ファンタジーの方が心に強く残るものだと感じた。対して、誠人と静流の心象風景は小さなリアリティを積み重ねて丁寧に描かれている。
ある日、誠人の部屋を訪れた静流は、壁一面に貼られた写真の片隅に自分が写った写真を見つける。その写真を見て有頂天になる静流。
誠人の心の中のほんの小さな一部分かもしれなけど、誠人の心の中に私がいる!そんな甘い期待と誤解。
誰しもが味わったことがあるだろう、懐かしく切ない感情。そんな小さな心のリアリティが見る者に遠い初恋の記憶を蘇らせるかもしれない。
そして、物語は悲しい結末へと向かっていく。
誠人と静流が互いを思いやる切ない気持ちに涙を禁じ得ないかもしれない。
しかし、人を愛した記憶を大切にしつつ、明日に向かっていく誠人の姿に、最後には爽やかな感慨を覚えるのではないだろうか。