俳句の心
秋もふかまり、背丈を越すほどの雑草がことしも家をおおっている。不意に裏口から訪ねてきてくれた人があった。見れば、服いっぱいの草の実をつけていた。不意の訪問客はうれしかった。まあ、まあと誘って、庵に迎え入れる。座るのももどかしいほどに、なつかしい話に花が咲き、いつまでも話し込む。いつしか酒となるも、旧来の友と酌み交わす酒のうましこと、たとえようもなし。

<旧友>
 
ひとくちコラム
【朋あり・・】
およそ、誠意のないところに友情は成り立たない。わざとらしさを去れ。酒は3合、ビールならば2本。ほろほろ酔うたら、そのまま睡るべし。その他の火酒は口にすべからず。つつましく、けちけちせずに。のびのびとして、くよくよしないで。世に旧友ほど、よろしきものはなし。(山頭火記)
【「一人の寂しさ」を詠んだ、山頭火の俳句は沢山ありますが、旧友と酒を飲んで語らう俳句はほとんどありません。珍しいそのような場面を詠んだ一句です。】