ロボットって何?
宇野眞和

「ねえ、お父さん、ロボットって、本当にいるの?」
 五歳になる息子が尋ねてきた。
「ロボット? ああ、本当にいるよ」
「じゃあさ、そんなのって、漫画に出てくるのみたいに、いっぱい僕とおしゃべりしたり、遊んだりできるの?」
 私はどう答えようか、と思う。
「うーん、そうだねえ……。今ロボットができることっていうのは、いろんな作業をしたり……」
「作業って何?」
「作業は、お仕事のことだよ。我々人間が命令したとおりのことをやってくれるんだ」
「ふうん」息子は、ちょっと納得しかねない様子だ。「そんなのは、僕と遊んでくれるの?」
「うーん、遊んでくれるかなあ? 今言ったようなロボットはね、人間がインプットした作業しかできないんだ。でも、人間とおしゃべりするためには、それだけの技術じゃあ無理なんだ。ロボット自身が考えて、おしゃべりしたり、動いたりするための、高度な電子頭脳が必要なんだよ」
「よくわかんない」
 息子は唇をとがらせた。
「つまり、今の時点では、自由に、一緒に遊んだり、おしゃべりできるようなロボットというものはないんだ」
「えー、つまんなーい」
「でもねえ、人間は頭がいいから、すぐにそんなロボットがつくれるようになるよ」
「ほんとに? じゃあ、僕が大きくなるまでにできるかな?」
「ああ、きっとそのころにはできてると思うよ」
「あっ、そうだ。僕、大きくなったら、自分でロボットをつくってみたいなぁ」
「へえ、それはいいね。我が家から科学者が誕生するのか」
「うん、僕、科学者になる」

「……ここまでだな」
「そうですね」
「実験は中止だ。これ以上は危険だ」
「はい」
「まさかロボットが自分を人間と思いこむとはな……。この二体は、あとで処分してくれ」




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